MY GENERATION

2001/08/02 映画美学校第2試写室
伝説のウッドストックから25年目・30年目の記念コンサート。
30年に渡る若者文化の変化をウッドストック経由で俯瞰。by K. Hattori

 1969年夏に開催されたロックイベント「ウッドストック・コンサート」は、総勢40万とも50万とも言われる観客を集めて'60年代の若者文化を象徴する伝説的イベントになった。このコンサートの様子は『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』というドキュメンタリー映画になっていて、今でもDVDなどで簡単に観ることができる。(現在は4時間近いディレクターズカット版が2000円で手に入る。)それから25年たった1994年と30年たった1999年に、最初のコンサートのプロデューサーだったマイケル・ラングが記念コンサートを企画し実現させている。それが「ウッドストック'94」と「ウッドストック'99」だ。本作『MY GENERATION』は'90年代に入って2回開かれた記念コンサートの一部始終を記録したドキュメンタリー映画で、要所で'69年のコンサートの様子と'90年代のコンサート風景を対比させながら、ロックや若者文化の歴史と現状、社会の変化などを浮き彫りにしていく。監督はウディ・アレンのコンサートツアーを記録した『ワイルド・マン・ブルース』のバーバラ・コップル。

 この映画はコンサートの記録ではない。演奏シーンは幾つか登場するが、中心になるのはコンサートまでの準備、マスコミや世間の反応、会場に集まってくる観客達の姿であり、参加したミュージシャンたちの感想などだ。そこで問いかけられているのは、'90年代にウッドストック・コンサートを再現することの意味であり、ウッドストックが若者文化の中で果たしてきた役割であり、コンサートの仕掛け人たちがそれを通じて何を望んでいるのかということだったりする。30年近い時代が流れて、当時の若者達はどんな大人になったのか。現代の若者達は30年前の若者達に比べてどう変ったのか。

 映画の中では'69年のウッドストックに比べて'90年代のウッドストックはどうなのかという批判的な視点が顕著だが、同時に現代のウッドストックを通して見える'69年のコンサートに対する批判的な視線も忘れていない。途中から無料コンサートになってしまった'69年のコンサートは、愛と平和云々という理想主義から観客の入場制限を解除したわけではない。単に警備の手が足りず、不正入場者の排除が徹底できなかったことから、やむを得ずフリーコンサートになってしまったのだ。そのせいでコンサート運営はひどい赤字になってしまった。'90年代のコンサートは商業主義に偏りすぎだと世間から批判されていたようだが、それは'69年の「失敗」から主催者側が学習した結果に他ならない。それでも'94年のコンサートが黒字にならなかったのはウッドストックらしさかもしれないけど、'94年はどうだったのか。

 音楽映画を期待するとガッカリすると思うが、ウッドストックに象徴される'60年代の若者文化を、'90年代の2回のコンサートを通じて総決算するというアイデアは面白いと思う。「愛と平和」「隣人との連帯」という理想主義が、必ずしも死んでいないというのも嬉しい。

(原題:MY GENERATION)

2001年9月中旬公開予定 シネセゾン渋谷(レイト)
配給:GAGAコミュニケーションズ 協力:アットエンタテインメント 宣伝:ビッグショット
(上映時間:1時間44分)

ホームページ:http://www.gaga.ne.jp/

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