トゥームレイダー

2001/07/31 東宝第1試写室
人気ゲームをアンジェリーナ・ジョリー主演で映画化。
アクション満載で最初から最後まで楽しめる。by K. Hattori

 人気ゲームの映画化らしいが、僕はゲームにまったく興味がないので原作がどんなゲームなのかも知らない。しかし映画はじつに楽しく観ることができた。この映画の魅力は『ボーン・コレクター』や『17歳のカルテ』のアンジェリーナ・ジョリーが演ずるヒロイン、ララ・クロフトの格好よさにつきる。父親の残した莫大な遺産と広大な屋敷を相続し、趣味と実益を兼ねて世界中で古代の秘宝を探すトレジャー・ハンター。しかし人々はその凄腕ぶりを称して「トゥームレイダー」と呼ぶ。要するにこれは女版「インディ・ジョーンズ」であり『ハムナプトラ』なのだ。舞台になるのは古代遺跡だが、映画全編にちりばめられたスリル満点のアクションシーンこそが見どころ。アンジェリーナ・ジョリーが飛んだり跳ねたり銃をぶっ放したりバイクや車でのスタントを演じたり、あの手この手でまったく飽きさせない。アクションのボリューム感に最後はくたくた。このサービス精神は『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』級だが、上映時間1時間41分で程良く切り上げるあたりは観客の生理をうまく心得ている。監督は『コンエアー』『将軍の娘/エリザベス・キャンベル』のサイモン・ウェスト。

 5千年に1度起こるという惑星直列。その瞬間に古代人が残した秘宝のパワーを使えば、人間は神と同じ全知全能の力を得られるという。主人公のララ・クロフトは、秘宝探索の鍵になる仕掛け時計を屋敷の中で発見。これは20年前に行方不明になった彼女の父が、娘のために残していたものだ。この時計を狙って、古代人のパワーを求める秘密結社の魔の手がララに伸びる。時計は奪われるが、ララは遺跡に先回りして秘宝の一部を奪取する。

 時計に刻まれた「全智の眼」や秘密結社「イルミナーティ」など、陰謀説の定番とも言えるアイテムが続々登場。中でも「全智の眼」なんて、アメリカのドル紙幣にも使われている有名なシンボルじゃないか。こうした現実と接点を持つ固有名詞を出すことで、映画の中の大嘘が我々の世界と繋がってくる。つまりこれは、「インディ・ジョーンズ」シリーズにおけるナチスと同じ役割を果たしているのだ。「全智の眼」はフリーメイソンのシンボルだけど、現代のアメリカの観客にはむしろ紙幣の図柄を連想させ、「古代の秘宝=莫大な富と権力を約束するもの」という役割付けを助けるのかも。

 アンジェリーナ・ジョリーのアクションはスタントマンによる吹き替えも多いのだろうが、本人もかなりのシーンで体を張ってがんばっている。屋敷の天井から宙づりになっての空中戦は、映画中盤の大きな見どころ。『グリーン・ディステニー』と同じように、アンジェリーナ・ジョリーが部屋の壁を駆け回る。すごいぞ。走るシーンなどを観るとわかることだが、アンジェリーナ・ジョリー本人は特別運動神経が優れているわけでもなさそうだ。動きの切れはイマイチ。しかしそれをカメラと編集で補って、テンポのいいアクションシークエンスを作り出している。いや〜、楽しかったです!

(原題:LARA CROFT: TOMB RAIDER)

2001年秋公開予定 スカラ座他・全国東宝洋画系
配給:東宝東和 宣伝:メイジャー
(上映時間:1時間41分)

ホームページ:http://tombraider.eigafan.com/

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