クロコダイル・ダンディー in L.A.

2001/06/04 GAGA試写室
オーストラリアからやってきた野生味たっぷりの男がロスで大暴れ。
人気シリーズ13年ぶりの続編。そこそこ面白い。by K. Hattori

 オーストラリアの人気者ポール・ホーガン主演の人気シリーズ第3弾だが、1作目の『クロコダイル・ダンディー』は'86年製作だからもう15年も前の映画。続編の『クロコダイル・ダンディー2』が'88年製作だから、そこから数えたってもう13年だ。僕はたぶん両方とも観ていると思うけど、内容なんてすっかり忘れている。僕は最初にこの続編の話をニュースで知ったとき、「なんで今さら続編なんだ?」と思った。それはたぶん、この映画の製作者たちだって十分に承知しているのです。観客が覚えているのはホーガン演じるミック・ダンディーという男の強烈なキャラクターと、ヒロインのスー・チャールトンがアメリカの新聞王の娘でジャーナリストだという設定ぐらい。この映画はその程度の予備知識があればちゃんと楽しめるように作られているし、そんな予備知識がなくてもそこそこ楽しめるはず。

 オーストラリアでツアーガイド兼クロコダイル・ハンターとして働いているミックと恋人スーの間には、9歳になる息子マイキーが生まれている。ただし正式な結婚はしていないパートナー関係。オーストラリアでの生活に何の不満も持っていない自然体のふたりだが、スーは父親の経営する新聞社のロサンゼルス支社長が急死したことから、その代打として一時ロスに出向くことを決める。ミックも「見聞を広めるにはアメリカはいいところだ」と、マイキーを連れてスーに同行。スーは前支社長が調べていた新興映画会社の取材を続け、その裏側に何か犯罪がからんでいるのではと考える。この調査に協力するため、ミックもスタジオに潜入するのだが……。

 悪役が最初から悪役の顔つきで登場するなど、謎解きとしては何のヒネリも落ちもない映画。しかしこの映画の場合、凝ったミステリー仕立てにする必要はまったくないのです。観客が楽しむのは、オーストラリアからやってきた田舎者のミックが、大都会ロサンゼルスで繰り広げるカルチャーギャップによる右往左往ぶり。それだけなら前2作と代わり映えしないのだが、今回はそこに息子のマイキーや親友のジャッコがからんで、ミックが彼らに都会生活の経験者として先輩風を吹かせるところが笑いを生む。例えばミックがジャッコをウェンディーズに連れていくシーンは、その店が日本人にも馴染みのウェンディーズであることも含めて大いに笑えるのだ。

 田舎者のミックがロスにやってきたら……という設定だけで、ショートコントのようなエピソードをたくさん作り、それをつなぎ合わせたような構成です。例えばミックが風呂に入るシーンや、ミックとマイキーが海岸で若い女と会話するシーンなどは、特に必要がないかもしれないし、この場所に配置されている必然性もない。でもこれが面白いのです。ストーリーはありきたりの勧善懲悪でヒネリがないから、この太い幹にどんなエピソードをぶら下げても映画そのものはびくともしない。素朴で単純明快な映画過ぎてすべては観客の予想の範囲内に収まりますが、僕はこんな映画も大好きです。

(原題:CROCODILE DUNDEE IN LOS ANGELES)

2001年初夏公開予定 スカラ座他 全国東宝洋画系
配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給

ホームページ:http://www.dundee-la.com/



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