チアーズ!

2001/05/30 東宝東和試写室
キルスティン・ダンストがチアリーダーに扮した青春ドラマ。
ミュージカルファンはぜひこの映画に注目を。by K. Hattori


 『ヴァージン・スーサイズ』キルスティン・ダンストが主演した“学園ミュージカル”と、あえて断言してしまいたい快作。主人公トーランスは高校のチアリーディング部のキャプテンに選ばれるが、新入部員のミッシーから振り付けがパクリだと言われて大憤慨。トーランス率いるランチョ・カルネ・ハイスクールのチアリーディング部トロスは、その独創的な振り付けと高い技術が評価され、全米大会で5回連続優勝をはたしている名門中の名門なのだ。その「独創的な振り付け」が、よりによってよそからのパクリだなんて! だがそれは事実だった。卒業した先輩キャプテンが、無名だが実力を持った黒人チーム“クロヴァーズ”を偵察し、まるまるその振り付けを盗んでいたのだ。「今までは知らなかったで済ませても、これからはそんな言い逃れはできなよ」とクロヴァーズのメンバーに詰め寄られたトーランスは、プロの振付師を雇って予選大会出場に備える。ところがその振付師というのがとんだ食わせ者で……。

 アメリカの高校で男子学生の頂点に立つのがフットボールチームの選手だとすれば、女子学生の頂点に立つのがチアリーダーたち。チアリーダーはスポーツ試合の休憩時間に応援(チアー)をリードする添え物として、フットボールやバスケットの試合に欠かせない存在。しかしその技術の真価が発揮されるの専門の競技会があるということを、僕はほとんど知らなかった。確か以前テレビで見たことがあったはずなんだけど、そんなことはこの映画を観るまですっかり忘れていました。(日本のチアリーダーは国際的にもトップクラスの実力の持ち主たちなのです。)チアリーダーは「女の子」というイメージが強いのですが、この映画に登場するトロスは男女混成チーム。そのダイナミックな演技はまるでサーカスを観るようなスリルがあって、思わず手に汗握ります。

 話の流れは典型的なスポ根もの。主人公がチームを懸命に引っ張ろうとするのに、いろいろな事件が起きてチームは低迷、チームワークもがたがた。しかしその困難を乗り越えて、チームはまた頂点目指してがんばる。「今こそ力を合わせる時なのよ!」「エイエイオー!」というわけで、最後はライバルチームと全国大会で一騎打ち。物語はそこに友情や恋がからむという、定番のコースです。映画最大の見どころは、この全国大会での華麗で力強い演技です。これはすごい。僕は今までチアリーダーをちょっと軽く見てましたが、これからは認識を改めます。競技会で解説者が言う言葉が、チアリーディングの姿を端的に現している。曰く「ダンスと器械体操を超ミニで演じる」。これは観ていて面白いに決まっている。もっともここに登場するのは、アメリカでもトップクラスの競技大会という設定なんだけどね。

 チアリーディングは一種のダンスなので、映画がミュージカルっぽくなるのも当然。この映画はそこに歌も入るし、映画冒頭ではバズビー・バークレー風の俯瞰ショットも見せてくれる。ミュージカルファンは必見!

(原題:BRING IT ON)

2001年8月公開予定 シネマライズ
配給:東宝東和 宣伝・問い合わせ:キネティック
ホームページ:http://www.eigafan.com/


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