シルク・ド・ソレイユ
ジャーニー・オブ・マン

2001/04/23 東京アイマックス・シアター
サルティンバンコで鍛え抜いた芸を見せてるパフォーマンス集団、
シルク・ド・ソレイユの芸をたっぷり堪能できる。by K. Hattori


 東京アイマックス・シアターで上映される3D大型映像の最新作。「サルティンバンコ」や「アレグリア」といったニュータイプのサーカスで、鍛え抜かれた技を披露しているパフォーマンス集団“シルク・ド・ソレイユ”が、アイマックスの大型画面を使ってたっぷりと妙技を披露してくれる。屋外でのロケーション撮影、ロケセット、スタジオ内に作られたセットなどに特撮を加え、普段テント小屋では見られない物語仕立ての演出を施している。テーマはタイトルにもなっている『ジャーニー・オブ・マン』。人生という長い旅を歩むひとりの男を狂言回しに仕立て、シルク・ド・ソレイユの華麗なアクロバットの中から男が人生の秘密を学び取っていくという筋立てだ。男は小さな子供から少年になり、やがて青年に、大人に、老人になってかつての驚きに満ちた世界を忘れてしまうが、最後は再び少年のような暖かく柔らかな心を取り戻して舞台を去っていく。ありがちなアイデアだけれど、それをありきたりに思わせないのは、この“物語”がエピソードとエピソードをつなぎ合わせる接着剤にしかなっていないからだと思う。“物語”はあくまでも脇役。人生を旅する男は、観客にシルク・ド・ソレイユの技を見せる案内役に過ぎません。だから話がクサかろうが何だろうが、あまり気にならない。

 僕が今までで一番感動したアイマックスの3D映画は、人気マジシャン・コンビを主役にした『ジークフリート&ロイ/マジック・ボックス IN 3D』だったのですが、この『シルク・ド・ソレイユ/ジャーニー・オブ・マン』もそれに負けないくらい面白い。どちらも人気パフォーマンスチームが出演した見せ物小屋系の映画というの点が共通してます。どうやら僕は、この手のパフォーマンスが好きみたい。映画に登場した出し物の中では、森の中でゴムヒモを使って空中ブランコ風の演技をする4人組とか、金属パイプのようなものでできた巨大な正立方体をクルクル回す筋肉男、池に浮かぶ蓮の葉の上で踊る彫像風ペイントの男女、最後に迫力満点の群舞を見せるアクロバットなどが印象に残る。特に最後のアクロバットはアイマックス3Dならではの大迫力。テレビで見ていては絶対にこの迫力が伝わってこないだろうし、ひょっとしたら実際の生の舞台を見てもこれほどの迫力が伝わってくるかどうかはわからない。人間の動きと音楽とをうまくカット割りして、まるでミュージカル映画でも見ているかのような気分にさせられた。

 映画を観ていて「うわ!」「すげ〜!」などと感嘆の声を上げることなんて、最近は滅多になくなっている。でもこの映画は、そんな驚きを素直に与えてくれるのだ。これはもう、特撮なしに生身の人間が演技していればこそだろう。それに加えて3D画面の奥行きと立体感。人間の肩の上に人間が飛び乗り、その上にさらに人間が……というお決まりの芸にしても、鍛えられた芸、しかも映画なんだから失敗なんてありっこないのに、観ていて本当にハラハラドキドキさせられてしまうのだ。

(原題:CIRQUE DU SOLEIL / JOURNEY OF MAN)

2001年7月7日公開予定 東京アイマックス・シアター
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
ホームページ:http://www.sonymusic.co.jp/IMAX/


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