パズル

2001/04/02 シネカノン試写室
クロスワード・パズルの作家が連続テロ事件に巻き込まれる。
セビリアの有名なお祭りを背景としたミステリー。by K. Hattori


 復活祭(イースター)はキリスト教会でもっとも重要な祝日で、12月25日にクリスマスが祝われるようになる以前から教会の行事として定着していた。日付は「春分後の最初の満月の次の日曜日」と決められているため(西方教会の場合)、毎年少しずつ日付が違う。去年は4月23日が復活祭だったが、今年は4月15日だ。復活祭は古いお祭りだけに、さまざまな行事がこれにくっついていて、キリスト教社会では一大イベントシーズン。復活祭前の1週間は「聖週間(受難週)」と呼ばれて1日ごとに行事が決まっているし、復活祭前の40日間は四旬節(レント/受難節)といって、これまたいろいろと行事があるし、四旬節の前数日はカーニバルもある。僕自身はプロテスタントの教会に通っていたので、イースターと言っても色の付いたゆで卵をもらうぐらいの印象しかないが、カトリック諸国ではこの時期に町中で盛大なお祭りをするところもある。町ではキリストの受難を再現した劇が上演され、最後は普段は教会の中にある木像を通りに運び出して、日本のお神輿のように大勢の信者たちがかついで町を練り歩くのだ。

 『パズル』はそんな聖週間のお祭り騒ぎが盛り上がる、セビリアの町を舞台にしたサスペンス・ミステリー。新聞のクロスワード・パズル作家をしているシモンは、1本の脅迫電話がきっかけで奇怪なテロ事件に巻き込まれていく。教会で起きた毒ガステロ事件。その事件に“カエル”とあだ名されるルームメイトが関わっているのではないかという疑惑。やがてシモンの周囲でテロが連続発生し、シモン自身が容疑者として警察からマークされるようになってしまう。次々送り付けられてくる謎めいたメモ。ルームメイトの書いた小説。古文書館で見つけた古い絵。悪魔崇拝。パソコンの中の奇妙なゲーム。シモンは事件の取材を担当する女性記者マリアと協力しながら、これらの謎に立ち向かうことになる。

 監督は『テシス・次に私が殺される』『オープン・ユア・アイズ』の脚本家マテオ・ヒルで、今回も脚本は彼自身が書いている。主人公シモンを演じているのは『オープン・ユア・アイズ』にも主演したエドゥアルド・ノリエガ。今回もふたりの女性の間でうろうろする、二枚目だがちょっと行動に問題ありの青年を演じている。“カエル”を演じているのはジョルディ・モリャ。『オープン・ユア・アイズ』ではペネロペ・クルスが大ブレイクしたが、この映画でシモンの恋人アリを演じたパス・ベガやマリア役のナタリア・ベルベケも、日本で人気が出そうなチャーミングな女優さんたちです。もちろん今後の出演作次第でしょうけれど……。

 聖週間のお祭りと事件がパラレルに進行していく構成なので、あらかじめセビリアのお祭りについて予備知識があればもっと映画を楽しめたと思う。スペイン人にとってはお馴染みの日程なのでしょうが、日本人にはちょっとわかりにくい。プレスには何も資料がついていないのですが、パンフには祭りの日程表を付けるべきかもね。

(原題:NADIE CONOCE A NADIE)

2001年6月公開予定 シネ・ラ・セット
配給:ポニーキャニオン 配給協力:シネカノン 宣伝協力:トライエム・ピクチャーズ
ホームページ:http://www.puzzle-movie.com


ホームページ
ホームページへ