岸和田少年愚連隊
カオルちゃん最強伝説
EPISODE 1

2001/03/02 松竹試写室
中場利一原作の『岸和田少年愚連隊』シリーズ最新作。
竹内力が15歳のカオルちゃんを演じる。by K. Hattori


 チラシによれば中場利一原作の『岸和田少年愚連隊』シリーズはこれが6作目だというが、それは吉本興行製作の作品だけの話。5年前にナイナイが主演した1作目『岸和田少年愚連隊/BOYS BE AMBITIOUS』を皮切りに、『岸和田少年愚連隊/血煙り純情篇』『一生、遊んで暮らしたい』『ネプチューン in どつきどつかれ』『岸和田少年愚連隊/望郷』『岸和田少年野球団』があり、さらにビデオで『岸和田少年愚連隊・超特別篇』があるはず。(最後の1本はビデオ作品のため未見。)どれもお笑い系のタレントに主役の利一やその仲間たちを演じさせるという趣向で、「おいおい、どう見ても十代には見えんぞ!」という図々しいキャスティングには定評がある。しかし今回の最新作ほど、その図々しさが徹底したものはないだろう。

 今回は利一たちを主役にした原作を離れ、シリーズの中でも異彩を放つ名脇役“カオルちゃん”を主人公にした番外編になっている。岸和田ではやくざも警察も手が出せないという暴れん坊が、いったいどんな青春時代を送ってきたのか。物語は昭和35年にまでさかのぼる。中学を卒業した村山薫は、やくざからのスカウトも断り、全国高校総番になることを夢見て地元の高校に進学するのだ。同じ学校にはカオルをライバル視する倉本がいる。別の学校にはやはりカオルの好敵手であるイサミがいる。番長グループとの対決、熱血教師との確執、やくざとの対立、ほろ苦いカオルの初恋、アナーキーなアルバイトの顛末、警察も寄せ付けないカオルのパワー、最後はやくざ事務所へのなぐり込みだ。

 カオルちゃんはこの映画の中で15歳の高校一年生なのだが、それを演じているのが竹内力。『岸和田〜』シリーズは第1作目から「こんな高校生がいるか!」という老け顔キャストが勢揃いだったが、それにしても今回は年齢とのギャップが激しすぎる。しかしこれが、ちゃんと映画の中で芸になっているのがすごい。コロポックルの夫婦から生まれた不動明王というくだりは笑わせるし、カオルが高校生に見えないということそのものが何度もギャグとして使われている。ちなみに竹内力は、昭和39年生まれで今年37歳。しかしこれで驚くのはまだ早い。この映画の中ではカオルをライバル視する倉本役で田口トモロヲが出演しているのだ。昭和32年生まれで今年44歳の学ラン高校生です。

 脚本は『岸和田少年愚連隊/望郷』も手がけたNAKA雅MURA。今回は話そのもののできがあまりいいとは思えない。カオルと初恋の相手をめぐるエピソードをもっと切なく感動的なものにすることもできたろうに、今回はそれを物語の味付け程度にしか使わず、とにかく徹底して竹内力演じるカオルちゃんをいじくり回すことに専念しているように思えた。竹内力もそんな作り手側の期待に応えて、奇怪な高校生カオルを熱演。この人は気張った演技をするとほとんどギャグと紙一重の芝居になる人ですが、今回は演技が完全にギャグの方にまで振り切れている。台詞なんて気張りすぎてて、いったい何を言っているのかさえわからない。アクションもすごいぞ。

2001年3月10日公開予定 大阪・天六ホクテン座
2001年3月30日公開予定 新宿昭和館
配給協力:アースライズ 問い合わせ:セディックインターナショナル、アースライズ


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