ケネス・ブラナーがシェイクスピアの喜劇をミュージカル化。
ミュージカル好きの僕もこれはダメでした。by K. Hattori
シェイクスピアの恋愛喜劇を、『ヘンリー五世』や『から騒ぎ』『ハムレット』など既にシェイクスピア作品の映画化に定評があるケネス・ブラナーが映画化したミュージカル喜劇。シェイクスピア作品のミュージカル化と言えばコール・ポーターの「キス・ミー・ケイト」とバーンスタインの「ウェストサイド物語」が有名だが、それらは劇の進行に合わせてオリジナルの曲を作っている。ところがこの『恋の骨折り損』では、場面進行に合わせてその場面にもっとも相応しい既成の名曲を借りてくる。使われている曲はアーヴィング・バーリンが4曲、ガーシュインが3曲、ジェローム・カーンが2曲、コール・ポーターが1曲といった案配。映画の中で最初に使われているガーシュインの「I'd Rather Charleston」がややマイナーな曲だが、それ以外はメロディを聴けば誰でも知ってる珠玉の名曲揃い。僕はミュージカルが大好きだし、好きな作曲家の筆頭はガーシュインで、以下ワイル、カーン、バーリン、ポーターといった名前をぞろぞろ挙げることに躊躇しない人間だ。当然この選曲には曲名を聞いただけでワクワクしてくるのだが、映画そのものにはどうしても乗れなかった。