《2000年夏・東映アニメフェア》

2000/07/16 丸の内東映
『デジモンアドベンチャー02』と『おじゃ魔女ドレミ#』の2本立て。
『デジモン』が期待はずれだったのは残念。by K. Hattori


 ここ何年かで一番興奮した劇場アニメは、『もののけ姫』でも『エヴァンゲリオン』でもなく、『デジタルモンスター』だったかもしれない。鳴り物入りで公開された巨匠の新作でもなく、テレビ放送やビデオマーケットで高く評価された作品の劇場版でもなく、まったく無警戒に、無防備に、出会い頭の衝撃をもたらしてくれたのが『デジタルモンスター』だった。それは過去2本の劇場版でも同じ。テレビ版と並行して進行する映画ゆえ、テレビを見ない僕のような人間からすると、劇場版の人物関係がつかみにくいなどの問題もあるのだが、そんなことを吹き飛ばすぐらい劇場版『デジモン』2作は完成度が高かったし面白かった。そんなわけで今回の最新作『デジモンアドベンチャー02』にも期待したのですが、今回は初めて『デジモン』に失望してしまった。デジモンの造形や戦闘シーンの迫力は相変わらずですが、お話の組立方が、なんだか普通のアニメになってしまった。

 今回の映画の舞台はアメリカ。幼い頃にチョコモンというモンスターと離ればなれになったアメリカ人少年ウォレスを中心に、テレビ版でもお馴染みの(僕にはちっともお馴染みではないのだが)日本の少年たちがからんでいく話になっている。前後編2部作で、上映時間も今までの劇場版2作よりずいぶんと長い。ところがこれが、あまり面白くないんだよなぁ。孤独なモンスターが仲間や友達を求めて悪さをするという展開は、『劇場版ポケットモンスター/ミューツーの逆襲』とあまり変わりばえしない。捕らえられた仲間を救うため、主人公たちが力を合わせてモンスターと戦うという展開も、いろいろなモンスターの進化過程を見せるだけで変化に乏しい。

 ニューヨーク裏町でのモンスターの格闘や、映画全体に覆い被さるように流れてくるブルースギターとブルースハープなど、ちょっとそそられるものはあったんですが、特に後編に入って登場人物が主人公たちだけになると、物語がどんどん内向していって面白くなくなる。劇場第1作目の団地での戦闘や、第2作目のサイバーパンクなど、現実世界とモンスター世界の接点にぎりぎりまでリアリティを感じさせたシリーズだったのに、今回はどこだかわからない原っぱでの戦闘。残念だ。

 しかし今回の東映アニメは、併映の『おじゃ魔女ドレミ#』が面白かったので、トータルではまずまずだろうと思う。主人公ドレミの妹ぽっぷが、魔女界にある女王様の花園から盗み出したウィッチクイーンハートという美しい花が、次々に人間の願い事をかなえてしまうという大騒動。これはテレビの30分枠でもできるような話ですが、僕は(例によって)テレビを見ていないので、今回が初のドレミ体験。とにかく可愛いんだ、魔女の少女たちが。魔法の力を取り戻したドレミが、カラフルなリズムタップをタンバリンのように打ち鳴らしながら変身する様子なんて、しばらく夢に出てきそうなぐらい格好よくてしかもカワイイ。この手のキャラクターは、やっぱり変身シーンが命だよなぁ。


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