GEDO
外道

2000/01/24 東映第1試写室
中条きよし演じる日本のヤクザがロサンゼルスで大暴れ。
う〜ん。なんでこんなにつまらないの……。by K. Hattori


 中条きよし主演のネオ・ヤクザ映画だが、舞台をアメリカにして英語劇にしているところがミソ。出演者は中条きよしの他、松田聖子、清水健太郎、松方弘樹という顔ぶれだから、なんとなく内容の傾向がそれだけでわかってしまう。監督はダレン・スー、製作はサイモン・ツェー。要するにこれは、日本人が香港のプロデューサーと組んでアメリカで撮った「洋画もどき」です。中身は海外ロケのある分だけ出演者の顔ぶれが豪華になったVシネマ……といった雰囲気。それはともかくとしてこの映画、話は出鱈目もいいところだし、各エピソードもスカスカ。見せ場らしいところがひとつもない駄作です。いくら何でも、もうすこし何とかならんのかね……。

 日本のヤクザ組織・末松組は、アメリカ進出のため中堅幹部・龍神をロスに送り込む。ところが現地のギャングたちと取り引きする段になると、必ず地元マフィアの顔役ブロンソンが介入して取引はお流れ。そんなことが既に何度か続いているのだ。業を煮やした末松組長は、若頭の堂本をロスに向かわせる。堂本はロス到着早々にブロンソンの隠れ家に単身殴り込むが、ブロンソン宅を監視していたロス警察にあっけなく逮捕されてしまう。日本に強制送還されそうになる堂本は、警察署を日本人女性サエミと共に脱出するのだが……。

 末松組の目的はアメリカに確固たる拠点を作ることで、その妨害をするブロンソンが目の上のこぶになっている。しかしだからといって、いきなりブロンソンを殺すというのもどうかと思うぞ。清水健太郎演じる龍神がいかにも悪党面なので、彼が組を裏切ってブロンソンと裏で手を握っているというのは最初から見え見え。つまり龍神は、地元の有力マフィアと手を組むことで、現地に自分の勢力基盤を築こうとしているわけだ。これはなかなか、賢いやり方なんじゃないのかね。龍神としてはどこかのタイミングで「やはりロスではブロンソンと組んだ方がいいっスよ」と組長に切り出して、ロス支部長としての実績をつかもうとしていたのかもしれない。それなのに、現地の様子もまったく知らぬ、英語もろくに喋れない若頭がいきなりやってきて、あらかじめ根回ししてあるブロンソンに斬りかかっちゃうのはマズイっす。

 サエミ役が松田聖子というのもよくわからない。この役は20代半ばの若い女でないとね。サエミは堂本に妹の敵討ちを依頼するため「お礼に私の身体を」と言うわけですが、松田聖子に身体を捧げられて嬉しいか? こっちは彼女が、さんざん白人の若い男とヤリまくってるという事実を知ってるわけです。さんざん使い回してくたびれた身体を捧げられても、「そんなお礼は結構です」と言うだろ普通は。聖子は年いくつだ? 妹っていくつなんだよ? いい年した女がロスで悪い男にだまされて麻薬漬けになっても、そりゃ自業自得だろ。「麻薬漬けにさせられて殺された」というのは、「麻薬漬けになって死んだ」の間違いだと思うぞ。

 最初から最後まで、ガッカリの映画でした。トホホ。

(原題:GEDO / The Fatal Blade)


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