ファンタジア/2000

2000/01/02 東京アイマックス・シアター
西暦2000年最初に観る映画はディズニーの『ファンタジア/2000』。
劇場が滅茶苦茶に混んでいて大変だった。by K. Hattori


 試写でも観ているのに、また観てしまいました。正月の映画館はどこも混んでいるのでしょうが、『ファンタジア/2000』を上映している東京アイマックス・シアターもめっちゃくっちゃに混んでいる。正月2日の3時半頃劇場に行ったら、7時半からの最終回しか空席がなくて、まだデパートも開いていない新宿で4時間も時間つぶしをすることになりました。食事や何かで、それなりに時間はつぶれるもんですけどね……。7時過ぎに劇場のロビーに入り、7時20分に開場。試写の時は劇場の最後列に近いところで観たので、今回は最前列に席を取ってみました。目の前180度がすべてスクリーンという状態で、迫力は確かにあるんですが、画面全部が一度に見渡せないのは失敗でした。やはりある程度は、後ろの方に席を取った方がいいですね。

 この映画をクラシック音楽を使ったMTVと評した人もいたけれど、それはかなり正鵠を得た意見だと思います。音楽とアニメを融合させるという手法は『ファンタジア』が嚆矢なのでしょうが、今ではポピュラーな物になっているため、それだけでは新鮮味がない。今回の見どころは、やはり大画面の迫力とデジタルの高音質です。1曲ごとに有名人ホストが登場して曲の解説をするのをうっとうしがる人もいるようですが、これは「動物の謝肉祭」や「ピーターと狼」などのクラシック音楽でも行われていることなので、僕は一向に構わないと思います。

 それより気になるのは、音楽をアニメの構成に合わせて編曲してしまうことです。中には原曲にほぼ忠実な物もありますが、ドナルドダックが登場する「ノアの箱船」のエピソードなど、エルガーの“威風堂々”を1番から4番まで好きなようにつぎはぎして、物語にピッタリと合わせている。こんなことがアリなら、どんな物語にどんな音楽を合わせるのも自由自在になってしまいます。せっかく「クラシックの名曲とアニメ」というコンセプトがあるのだから、原曲の制約の中でアニメを作ってほしかったとも思う。もっとも、現在コンサートやCDで聞ける曲だって原曲に忠実だとは限らないし、録音技術が発達していなかった時代には長い曲を短く編曲して録音されていた。NHK「名曲アルバム」のように、どんな曲でも5分にしてしまうケースもある。だから『ファンタジア/2000』にだけ原曲を求めるのは、いささか無理な注文なのかもしれない。それに原典を改作してしまうのは、ディズニーの得意技だしね……。ただ一方では“威風堂々”のようなことをしておいて、もう一方では「スズの兵隊」にピッタリの曲が見つかったことを誇るのは矛盾のようにも感じる。だったら「ノアの箱船」にも、もっと最適の曲を探せばよかったのに。

 たぶんこの映画は東京アイマックス・シアターがオープンして以来の大ヒットになるのでしょうが、劇場の切符予約システムと、売店の混雑緩和はなんとか改善してほしい。正月で混んでいることから生じた特殊なケースなのかもしれないけれど、一考の余地があるはずです。

(原題:Fantasia 2000)


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