2001年3月の出来事

3月1日(木)
 午前中に映画の感想を書こうと思ったが、原稿の追加校正などもあって時間をとられてしまう。午後はワーナーで『ドッグ・ショウ』の試写。宣伝会社から「ぜひ早く観てください」と電話で催促されていたのだが、何度も試写スケジュールが組まれているのでついつい後回しにして遅くなってしまった。これはなかなか面白い映画。大爆笑はないけれど、「イッヒッヒ」とかなり意地悪な笑いがこみ上げてくる。2本目はぴあで『NO SURRENDER/自分にたどり着くまで・Boxer飯泉健二』というドキュメンタリー映画の試写。終盤の試合シーンにはさすがに感動してしまった。
 夜は『ハンニバル』の試写があったのだが、試写状を部屋に置き忘れていたので一度帰宅。そうなると再び部屋を出て新宿まで出かけるのが億劫になってしまい、結局そのまま部屋からでなかった。雨が降っていたのも影響が大きいなぁ……。これは後日試写室で観るつもり。混むだろうなぁ……。

3月2日(金)
 午前中から『岸和田少年愚連隊・カオルちゃん最強伝説』の試写。東京ではこの日のこの回しかマスコミ試写の予定がないのに、試写室に行ったら僕しかいないのにはあせった。その僕だって正規に試写状を貰ったわけではなく、電話で問い合わせをして試写を見せて貰っているんですけど……。東京では新宿昭和館で3月末からの公開。まぁビデオ市場向きの映画ということなのかもしれないけど、それにしてもこれはちょっと。映画自体はつまらなくない。竹内力が高校1年生のカオルちゃんを演じるというのはなかなかに痛快。田口トモロヲや山口祥行が、竹内力をライバル視する高校1年生の役で出演。どう見たって15歳には見えないんだけど、このシリーズはそれでもいいのだ。
 午後は完成披露試写で寝てしまった『I.K.U.』を、今度こそ寝ないで観る。でも後半で少し意識が遠くなりそうになった。特にストーリーもないしなぁ……。このあと『ハロー ヘミングウェイ』というキューバ映画を観て帰宅。

3月3日(土)
 朝起きたら頭痛がする。まずい。熱を計ったらまた37度近い。アスピリンを飲んでごまかすが、昼過ぎまで頭痛に悩まされた。ここ何日か感想文を書く作業をためてしまったので、この土日は仕事の原稿も含めて大変な量の文章を書く羽目になる。とりあえず今日は、情報誌のコラムを書き上げて入稿。頭痛のせいもあって、なかなか作業がはかどらない。夕方から友人と外食。夜はまた原稿書き。

3月4日(日)
 今朝は少し朝寝坊して、午前中から映画の感想の残りを書いてしまう。午後はWEBマガジンの映画紹介記事を書くため、百科事典を調べたり、あちこちのWEBサイトをうろつき回ったり。これがなかなか楽しかった。夕食の買物に出て、「北条時宗」を見ながら食事。その後風呂に入り、仕事を少しして寝てしまう。

3月5日(月)
 午前中に仕事の原稿を何本か書いて入稿。メルマガの編集も済ませる。午後はシネカノンで『あしたはきっと…』という吹石一恵主演の青春ドラマ。三原光尋監督なのでハチャメチャなコメディかと思ったら、じつに真面目で丁寧なファンタジー映画でした。ちょっと意外。2本目は築地のソニーで『センターステージ』というバレエ映画。これは素晴らしい。個人的には今年のナンバーワン。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』や『恋の骨折り損』でさんざん「ミュージカル映画もどき」のようなものを見せられ、『踊るのよ!フランチェスカ』などの低予算ミュージカルでかろうじて渇きを癒していたミュージカルファンは、この映画に狂喜乱舞することだろう。監督はミュージカルの演出家としても知られるニコラス・ハイトナー。歌はないけど、とにかく踊る。ダンスシーンを観ていて涙が出そうになった。大満足。3本目はシネカノンに戻って『フロム・ダスク・ティル・ドーン2』。ダニー・トレホの顔が懐かしい。ロバート・パトリックはずいぶんと年を取った。そんな映画です。

3月6日(火)
 午前中から試写があるので、少し早めに映画の感想を2本書いてしまう。10時過ぎから東宝で『ドラえもん/のび太と翼の勇者たち』。併映の短編をまじえて2時間13分。今回の併映短編は『がんばれ!ジャイアン!!』で、やっぱりホロリとさせられてしまった。今回気が付いたけれど、この短編は完全に子供を劇場に連れてくる親を対象にした映画になっているのだ。劇中でジャイアンの母親がテレビを見ているのだが、そこに出演しているのが林家三平(声は林家いっぺい)。懐かしの昭和40年代なのだ。時代考証が完全かどうかはともかくとして、こういうノスタルジーはとりあえず切り口としてありだと思う。この日は『クレヨンしんちゃん』の新作予告編もやっていたのだが、この映画も今回はノスタルジー路線らしい。トヨタ200GTが爆走してました。
 『ドラえもん』が意外と長かったので、食事もせずに渋谷のシネカノンへ。イランの映画監督アボルファズル・ジャリリの『ダンス・オブ・ダスト』の試写。字幕なしだが、もともと台詞が極端に少ない映画だ。でもここまで説明をそぎ落としてしまうと、何がなんだかよくわからなくなってしまう。映画の後、簡単に食事。京橋のメディアボックスで『クレーヴの奥方』。この後再び渋谷に舞い戻って『ダブルス』。1日に4本観るとさすがに疲れる。

3月7日(水)
 午前中に映画の感想を5本分書き上げる。いつもこのぐらい手が早ければなぁ……。
 午後は映倫で『青の瞬間〈とき〉』の試写。15歳の中学3年生を主人公にした青春映画。映画美学校に移動してダニエル・シュミットの『ベレジーナ』。ロシアからスイスに来た高級娼婦が、国の大物たちにもてあそばれたあげくに逆ギレして……というコメディ映画。ミュージカル風の場面が突然挿入されたりして、面白く見ることができた。最後はクスクス笑いが止まらない。3本目はぴあで『青chong』という朝鮮高校の野球部員を主人公にした青春映画の試写。今日観た映画の中では一番短い54分の作品だが、今日観た映画の中では一番面白かった。

3月8日(木)
 午前中に映画の感想3本書く。昼は久しぶりに銀座で食事したのだが、店員が注文を取り間違えて困ったことになる。1時からの試写は時間が間に合わないので別日に回し、ペットショップに寄って金魚のエサと交換用フィルターを購入。月島の古本屋で「アメリカ人とアメリカニズム」(猿谷要/三省堂)と「カルトの諸相/キリスト教の場合」(井門富二夫/岩波書店)を購入して一度帰宅。3時過ぎに再び部屋を出て、図書館に寄って本を返却。その後はTCCで『いのちの海/Closed ward』の試写。原作は帚木蓬生の小説「閉鎖病棟」。真面目に作った映画だけれど、ちょっと真面目すぎるかも。監督が新人で、ちょっと語り口が硬いのかもしれない。食事してからメディアボックスで永瀬正敏主演の『けものがれ、俺らの猿と』。これがまったくどこが面白いのかわからない映画で、観ながら困ってしまった。
 試写室を出たら少し雨が降っていた。自転車なのに困るなぁ……と思いつつ、濡れながら夜の八重洲通りを自転車ぶっ飛ばして帰宅。今日はちょっと寒かった。早く温かくなってくれないものか。温かくなればなったで、花粉症に苦しむことになるんだろうけれど。最近目がかゆくてしかたがない。クシャミも突然出始めて止まらなくなることがあるし……。あ〜嫌な季節だなぁ。
 数日前からこのページに「最近読んだ本」のコーナーを作ったのだが、いきなり毎日のように読み終わる本が続出したのは、いつも何冊かの本を並行して読んでいるから。たまたまこの何日間かに、読み終わる本が連続しただけなのだ。今はまたゼロからスタートなので、このページが更新されるのはしばらく先になると思う。「キリスト教200年史」なんて、まだ全体の2割ぐらいしか進んでいないしなぁ……。机の上には、読もうと思って買った本が未だに山積み。今日もまた古書店で2冊買ってきたので、山がまた高くなった。

3月9日(金)
 午前中に映画の感想を書き、ホームページの総目次を作ったりもする。映画瓦版については個人でできる手一杯のところまで来ているのだが、さらにコンテンツを充実させたいと思っている。手伝ってくれる人がほしいところだ。記者会見の取材やインタビューなどやりたいことはたくさんあるのだが、僕ひとりでは映画を観るだけで精一杯。これらの取材をやってくれる人がいないかなぁ……。もちろん無給なんだけど。メーリングリストの投稿を編集して読み物風のページが作れないかと前から考えているのだが、これもずっと手つかずで残っている。今年中にはいろいろと手を入れて、映画瓦版全体をボリュームアップしたいな。あくまでも希望だけれど……。
 午後は自転車移動。UIPで『ナース・ベティ』を観た後、東宝で『チキンラン』の試写。『チキンラン』はすごくよくできているけれど、よくできすぎていて、「手作りアニメーション」風の動きのぎこちなさが完全になくなっていることが物足りないと感じたりして……。『大脱走』など収容所脱走もののパロディとしてはよくできていると思うし、巨大なパイ製造器のシーンなども面白いけどね。ドリームワークスの作品だし、『ウォレスとグルミット』のようなあくの強さは望んじゃダメなんでしょうね。自転車を銀座に置いたまま、地下鉄で渋谷に移動して『フロム・ダスク・ティル・ドーン3』。作家アンブローズ・ビアスを狂言回しにしたメキシカン・バンパイア映画。ダニー・トレホがまた出ている。

3月10日(土)
 映画の感想書いて、仕事の原稿も書いて、まぁいろいろ……。夕方から近所の店で名物のレバフライを25本買って、大江戸線で知り合いの家へ。毎年楽しみにしている、年に1度のミュージカル映画上映会。いつもはオールナイトで朝までいるのだが、この日は11時半頃においとますることにした。12時頃に帰宅。寝る。

3月11日(日)
 残りご飯でチャーハンを作って、午前中はCSへ。とにかく寒い。今日は冬の気候に戻ってしまった。昼食はご飯を炊いて、おかずはネギ入りの炒り卵と焼き魚、キャベツの味噌汁。天気がいいので近所の公園へ。ホームページに載せるために、デジカメで自分の写真を何枚か撮ってみる。

3月12日(月)
 午前中に仕事の原稿を仕上げて入稿。メルマガの編集。午後は1本目の試写に遅刻したのでこれをパスして別日に回し、『バンパイアハンターD』『恋はハッケヨイ!』の2本を観て帰宅。

3月13日(火)
 メーリングリストが久しぶりに大にぎわい。最近ちょっと寂しかったのだが、テーマを決めて投稿を募集するというのが気楽でよかったようだ。この結果をホームページに反映したいのだが、人力でコピー&ペーストするのは結構大変。何か方法を考えなければ……。
 午後は試写4本。まずは映画美学校で『ザ・コンヴェント』というB級ホラー映画。馬鹿な映画だけど楽しい。何よりもサービス精神がある。次がGAGAで『クリスマス・イヴ』。これもB級和製ホラーなのだが、どこが面白いのかさっぱりわからない内容に頭を抱える。3本目はメディアボックスで『ポエトリー・セックス』。レズビアンの私立探偵が女子大生の殺害事件を捜査する、ハードボイルド・ミステリー風の筋立て。しかし面白いのはミステリー部分ではなく、主人公を始めとする登場人物のキャラクターだったりする。主演のスージー・ポーターがなかなかかっこいいのだ。体型ずんぐりで男性の目から見て決してセクシーなものではないと思うけれど、表情がなかなかいい。ジュリアン・ムーアにちょっと似てるかも。共演のケリー・マクギリスは「お久しぶり!」という感じ。『トップガン』の美人女優も、だいぶ年を取ったなぁ……。4本目は新宿のアイマックス・シアターで『ドルフィン』。水中撮影が美しい。大江戸線で帰宅。さすがに疲れた。

3月14日(水)
 午前中に映画の感想を少し書くが、まったく追いつかない。午後は九段下で編集者と雑誌原稿についての打ち合わせ。資料やサンプルビデオを受け取ったら、かばんが重いのなんの……。しかしそのまま次の試写へ。3時半からGAGAで『エコエコアザラク』の新作。つまらない。「私は魔女じゃない!」と叫ぶ黒井ミサなんて、どこに魅力があるんだ? 少年チャンピオン全盛時代を知っている「エコエコアザラク」のかつての読者としては、今回の黒井ミサには異議ありだ。6時からシネカノンでジャン・コクトー関係のドキュメンタリー映画を2本。『ジャン・コクトー、知られざる男の自画像』はコクトーのインタビューを巧みに編集したドキュメンタリー。『サント・ソスピール荘』はコクトーが内装を施した別荘を、コクトー本人が案内するというもの。どちらもすごく面白かった。
 帰宅してからサンプルビデオを見る。全部見終わったのは夜中の1時頃。あ〜疲れた。

3月15日(木)
 午前中に雑誌原稿のラフレイアウトをFAXで編集部に送る。早めに昼食食べて12時から徳間ホールで『ハンニバル』の試写。もっと混んでいるかと思ったが、そうでもなかった。上映開始時にはさすがにほぼ満席になったけど、立ち見までは出ていなかったように思う。前作『羊たちの沈黙』に主演したジョディ・フォスターの降板についていろいろと言われているが、僕はジュリアン・ムーアのクラリスでもまったく気にならなかった。今回はクラリスよりレクターが主役。レクター中心に見ている限り、クラリスなんて誰だっていいとまで言うと、ちょっと言い過ぎかな。今回はサイコホラーというより、ほとんどラブストーリーだった。リドリー・スコットの刑事ドラマには『誰かに見られてる』という凡作があるので不安だったのだが、今回はすごくよかった。刑事ドラマやサイコホラーの要素より、レクターとクラリスの感情的な葛藤と、レクターの復讐を全面に出しているのが成功の理由だろうと思う。アンソニー・ホプキンスは『タイタス』を思わせるようなところが多々あって面白かった。2本目はメディアボックスで『DOWNTOWN81』というバスキア主演の映画。懐かしの'80年代! プラスチックスの演奏シーンが突然出てきてびっくりしちゃった。
 体調があまりよくないので早めに帰宅。本当はこのあと、『ディボーシング・ジャック』と『ザ・メキシカン』を観るつもりだったんだけど、この2本は後日に回すことにする。

3月16日(金)
 12時半からヘラルドで『トラフィック』の試写を観る予定にしていたのだが、評判の映画なので12時少し前には試写室へ。このため昼食を取るのも時間が早まったし、午前中に映画の感想を書く時間も短くなる。昨日は『ハンニバル』がやはり12時からだったし、2日連続で午前中の時間が削られると、作業はどんどん遅延してしまう。今週末は仕事が珍しくいくつか重なっているしなぁ……。
 ヘラルドの試写室に30分以上前に行ったのに、席はほとんど埋まっていた。僕は残った3つの席のひとつに滑り込み。もっともほとんどの席はチラシなどを並べて、配給会社側が後からくる人のために席を確保していたようです。最終的に上映が始まった段階で、こうした“仮押さえの席”がいくつか余ってましたから、「席が一杯です」と入場を断られた人はお気の毒でした。もっともギリギリまで粘っても席がいくつ空くかは未確定なんだから、その不確実性にギャンブルをかけるより、銀座周辺の他の試写室に向かった方がいいかもね。その『トラフィック』は2時間半もある映画だが、脚本がうまく組み立てられていて素晴らしい映画に仕上がっている。これはアカデミー賞にもいくつかの部門でノミネートされているが、1つか2つは何か賞を取りそうな気がする。
 2本目の『大混乱/ホンコンの夜』は田口浩正主演の香港映画。これがじつにつまらない。香港映画もすべてが面白いわけではないという見本みたいな作品。『無問題』もいまいちだったけど、それよりもずっとずっとレベルが下だもんなぁ。少し期待していたので、これは残念でした。
 3本目は東宝で『ムルデカ 17805』。終戦後にインドネシア独立戦争に加わった元日本兵たちの実話を映画化した作品だが、映画としてのできが悪すぎる。この素材を映画化しようという意図はわからないわけでもないし、それはそれで意味のあることかもしれないが、よりにもよってこんな映画にしてしまうなんてひどすぎ。これは独立戦争を戦ったインドネシア人にも失礼だし、インドネシア人たちと一緒に戦った日本人たちにも失礼だと思う。そもそもこれは脚本が悪すぎるよ。こんな映画に、現代の日本人が共感できるか? 少なくとも僕はまったく共感できない。これは思想信条や歴史観の問題ではなく、映画の作り方の問題。とにかく下手くそなのです。独りよがりなのです。今年のワーストワンはこれで決まり。ちょっとやそっとで、これ以上にひどい映画が作れるとは思えない。

3月17日(土)
 午前中から映画の感想を書いたり、仕事の原稿を書いたり。午後は外出。

3月18日(日)
 午前中はCS。朝は雨だったが昼頃から晴れて暖かくなる。昼食後しばらくを近所の公園で過ごし、夕方に少し昼寝してから夜に仕事。

3月19日(月)
 午前中は仕事。午後はソニーで『LOVE SONG』の試写。尾崎豊が懐メロかぁ……。3時半から『ナンナーク』を観る予定にしていたのだが、この映画は映画祭で観ているので資料だけ受け取って帰宅。夕方から食事に出かける。

3月20日(春分の日 火)
 晴れて暖かい1日。その分、花粉がひどいのかな。午前中に映画の感想を書くが、鼻水ひどすぎ。鼻炎の薬を飲んだら眠くなって、昼食後に3時間も昼寝してしまった。昼寝したからといって夜更かしするわけではないので、昼寝した分だけ1日が短くなるわけだ。
 夕方からパソコン・ソフト誌の原稿を書く。第1回目なので要領がつかめず苦労する。たぶん2回目以降はもっと楽になると思うけれど……。映画瓦版のチャットルームをリニューアル。@niftyのサービスからJetCHATの無料サービスに変更。これで少しは使い勝手がよくなるはず。いずれは定例のチャットなどを行ってもいいかな。

3月21日(水)
 映画を観ていない日の翌日は感想文を書く必要がないのでわりと時間に余裕がある。その分せっせと別のことをするんだけど……。今日は本を読んだり、洗濯をしたり、部屋を少しかたづけたり、まぁいろいろ……。
 午後はTCCで『ザ・デリバリー』というオランダ映画を観た後、ワーナーで『2001年宇宙の旅』を観る。『2001年』をスクリーンで観るのは久しぶり。というか、そもそもこんなに退屈な映画、ビデオで見たらどんどん早送りしてしまいそうです。でもスクリーンで観ると、やっぱり見ごたえがある。細かいところまできちんと作り込んでいるからだろうな。音楽も大音量で聴くと違うしね。

3月22日(木)
 午前中に映画の感想書いて、午後は試写3本。黒沢清の『降霊』は前半の淡々とした描写が面白いけれど、後半で事件が動き始めるといまいちだなぁ。この監督は「得体の知れない恐怖」を描くのはうまいけど、恐怖の正体が明確になると面白味が減じてしまう。2本目はミシェル・ラロック主演の『シリアル・ラヴァー』。フランス映画祭で観ている映画だけれど、これも後半のパーティーシーンがいまいちなんだよね。その前はものすごく面白いし、オチの付け方もうまいのでちょっともったいない。3本目は『ブラス!』のマーク・ハーマンが監督した『シーズンチケット』というサッカー少年の映画。この監督は逃げ場のない貧乏を描くとうまい。
 移動中に読んでいる「鞍馬天狗・雁のたより」はいよいよ大詰め。しかし帰宅してからは昨日から読み始めた「点子ちゃんとアントン」を読んでしまう。これは僕が生まれて初めて読んだケストナーの本だと思う。僕が持っているのは岩波のケストナー少年文学全集に入っているもので、高橋健二による完訳版。'74年発行の第12刷だ。これは僕が小学生の時に、自分の小遣いで買ったもの。これを買う前に学級文庫に入っていた抄訳版を読んでいたので、僕は「点子ちゃんとアントン」を少なくとも2回は読んでいるのだ。その後「ふたりのロッテ」は何度か読み返したけれど、「点子ちゃんとアントン」はあまり読み返すことがなかったかもしれない。久しぶりの再読。アントンと母親のくだりは泣ける。間もなく公開される新しい映画版は、原作をかなり大胆にいじくり回している。

3月23日(金)
 午前中に映画の感想を2本ばかり書いて、午後は東映で沢島忠の時代劇を2本観る。『家光と彦左と一心太助』は家光と太助が入れ替わるという江戸時代版「王子と乞食」。楽しい映画。『暴れん坊兄弟』は山本周五郎の原作を映画化した大傑作。PHSを持ち忘れていたので一度仕事場に戻り、その後新宿で映画瓦版MLのオフ会。ほとんどが毎度のメンバー。12時近くまで飲んでいた。新宿から銀座まで地下鉄でもどり、そこから歩いて帰宅。

3月24日(土)
 ちょっと二日酔い気味でもあるが、それより鼻炎がひどくて参った。鼻のかみすぎで鼻血が出ちゃったよ。まったく調子が悪くて仕事にならない。頭ぼんやり。午後になって少し昼寝したけど、それでもまだだめ。

3月25日(日)
 午前中はCSのあと日劇東宝で『ドラえもん/のび太と翼の勇者たち』を観る。そんなに混んでもいなかった。ドラえもんも集客が落ちてきているんだろうか。春のアニメは《東映アニメフェア》がダントツなのか。どうでもいいけど久しぶりに劇場で映画を観ると、予告編が始まる前のCMの長さが気になる。予告編自体は、最近は東宝の試写室でも流しているのだけれど……。それでも金子修介版『ゴジラ』の予告は初めて観た。それにしても今年の東宝はアニメラッシュだ。『ドラえもん』を皮切りに『クレヨンしんちゃん』『名探偵コナン』『メトロポリス』『ポケモン』『千と千尋の神隠し』……。『ポケモン』の新しい映画は面白そうだ。来週は『メトロポリス』の試写もある。これは期待半分で不安も半分だな。予告編を観る限りはずいぶんと素敵そうだったけど。今年になって試写を観せてもらえない映画が何本か出てきているので、その分劇場で映画を観る機会も増えると思う。これはこれでなかなか面白いものだ。
 午後はまたコツコツとホームページに手を入れたりする。新しく映画瓦版に、現在公開中の映画のタイトルだけをピックアップしたインデックスページを作った(http://kawara-ban.plaza.gaiax.com/top.html)。これはもう2,3年前からあれば便利だろうと思いつつ、時間がなくてなかなか手を付けなかったもの。一度作ってしまうと、あとは毎週ぴあとにらめっこしながらタイトルを入れ替える作業をしなければならない。毎週10〜15本ぐらいの入れ替え作業だと思う。30分か1時間ぐらいの作業だろうか。面倒だなぁ。誰か手伝ってくれないだろうか。

3月26日(月)
 一昨日あたりから東京のさくらはちらほら咲きだったが、昨日の雨と今日の暖かさで今日は3分咲きぐらいになっていた。これはあと数日で満開だろう。週末にはもう散っているかもしれない。ついこないだまで寒くてふるえていたのに、季節の移り変わりは早いものです。
 午前中はメルマガの編集など。まだ多少雨が残っていたが、午後は自転車移動。昼過ぎにTCCでティム・ロス主演の『夢の旅路』という不思議な映画。映画全体が夢かうつつかわからないような、奇妙なファンタジーだ。2本目は田中麗奈主演の『東京マリーゴールド』。愚かな恋の物語。しかしこの愚かさの中に、恋愛の真実がある。どんな恋だって、多かれ少なかれ愚かなものです。食事して3本目は京橋で『ベンゴ』というフラメンコの映画。今日観た映画の中ではこれが一番面白かったかも。
 雨はすっかり止んでいる。帰りに酒屋でウォッカを1瓶買って帰る。帰宅してからシャワーを浴び、その後洗濯。

3月27日(火)
 午前中にメルマガの発行手続きを行い、映画の感想文を少し書き、食料品の買物をして、洗濯もする。
 午後は試写3本。韓国映画『アタック・ザ・ガス・ステーション』はなかなか面白かった。日本で言えばサブ監督が作るような映画だけれど、主人公が複数いるからその分物語は厚みが出てくる。2本目は東宝で川島雄三の『喜劇・とんかつ一代』。東宝の試写室で東宝スコープのロゴを観ると、なんだか感慨無量だ。映画もじつに楽しかった。軽く食事して3本目はル・テアトル銀座でケイト・ブランシェット主演のサム・ライミ作品『ギフト』。ライミ監督はすっかり上品になってしまった。もっとやんちゃな映画が観てみたい。

3月28日(水)
 午前中は映画の感想を書いたりする。午後は徳間ホールで『デュカネ/小さな潜水夫』というデンマーク映画。2本目は映画美学校で是枝裕和監督の新作『ディスタンス』。どっちもイマイチだった。
 八重洲の大塚商会でパソコン用の安いスピーカーを購入。帰宅してパソコンに接続したのだが、しばらく動作不安定で四苦八苦するが、なんとか安定した。その後ホームページに少し手を入れる。公開中の作品リストにメニューをくっつけて、映画瓦版のトップページのようにした。場合によってはこちらの方が使いやすいという人もいると思う。(http://kawara-ban.plaza.gaiax.com/top.html

3月29日(木)
 午前中にたまり気味だった映画の感想を一気に書いてしまう。外は雨。さくらは満開だが、この雨が続くと週末はもうだいぶ散ってしまうかもしれない。
 午後はUIPで2本立て。トラボルタ主演の『ラッキー・ナンバー』はまぁまぁ面白い。宝くじ詐欺を巡るコメディ映画で、監督はノーラ・エフロン。やっぱり手慣れていてうまい。2本目は『ザ・スカルズ/髑髏の誓い』という、アメリカの大学にある秘密結社をモチーフにしたサスペンス映画。モデルになったのはフリーメイソンだと思うけど、劇中に登場する秘密結社はまったく神秘性がなくて、単なる同窓会組織みたいに見えてしまう。あるいはサークルやクラブ活動を通じた、在校生とOBのネットワークとかね。これで秘密結社とは恐れ入る。食事を取る間もなく五反田に移動し、イマジカで『ザ・メキシカン』。スターの映画としてはまずまずのでき。楽しい。でも2時間を超えたのはちょっと長すぎる。これで1時間40分ぐらいにまとまれば、往年のスター共演映画みたいでよかったと思うけど。なかなかうまく行かないものです。
 せっかく五反田まで行ったので、帰りにブックオフで何冊か本を買って帰る。今回の目玉は「エクソシスト」の初版本を100円で買ってきたことかな。帯付きで、そこにはでかでかと「ワーナー映画化」という惹句が踊っている。近々『エクソシスト』のディレクターズ版DVDが出るので、それも買おうかと思っているところ。せっかくだから原作にも目を通しておこうと思った次第。それにしてもこれが100円か……。他には講談社現代新書の「カンヌ映画祭」を100円で、「私はどのように神を見いだしたか/枢機卿、ジャーナリストに答える」を700円で購入。
 少し前から読んでいた青野太潮の「どう読むか、聖書」を読み終わったが、著者の“復活”解釈には大きな違和感を持った。これは読者に対して新しい聖書の読み方や正しい聖書の読み方を伝えるというより、著者自身の信仰告白にしかなっていないと思うけれど……。

3月30日(金)
 午前中に映画の感想を書いてしまう。午後はヘラルドで『15ミニッツ』。試写の後すぐに渋谷に向かったのだが、3時半からの試写にはちょっと間に合わなかった。こちらの試写はまだ何度かあるので、東急ハンズに行ったりして帰ってくる。その前に渋谷で牛丼を食べてきたんだけど……。今年になって牛丼カウントのページを作ったせいか、外で食べる食事は圧倒的に牛丼に偏っている。こんなことでチャレンジ精神発揮してもしょうがないんだけどなぁ。我ながらあきれている。

3月31日(土)
 外はみぞれか雪か雨という寒い日になった。2月並の気候だそうだ。桜が満開で雪が降っているというのは、東京では25年ぶりだとか。今日は不動産屋に行こうと思ったのだが、この雨では部屋を出るのがおっくうになって、1日を部屋で過ごす。
 ホームページの公開作品一覧を更新し、ついでにメルマガの星取表をくっつけた。これで公開されている作品のどれが面白くてどれがつまらないのか一目瞭然。映画の感想を書いて、仕事の原稿も書く。午後になって少し頭痛がしてきたので夕方まで少し寝る。目が覚めてもまだ外が雨だったのでひどく憂鬱な気分。




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