シックス・センス

1999/09/21 東宝東和試写室
ブルース・ウィリス主演のサイコ・ホラー映画。すごく面白い。
ホラー映画なのに感動して泣いちゃった。by K. Hattori


 児童心理学者として順風満帆の人生を送っていたマルコム・クロウは、ある晩自宅に何者かが侵入しているのに気づく。10年前に患者だった男が、錯乱状態で彼の家に侵入したのだ。「あんたは僕を治せなかった」と泣き叫ぶ男は、マルコムをピストルで撃って自分も自殺する。……それから半年後、マルコムの人生は一変していた。患者を救うことができなかった自責の念から、彼の心は深く傷つき、口数の少ない暗い男になってしまった。自宅で元患者に銃撃されたことから、夫婦仲もギクシャクしてくる。マルコムは10年前に救えなかった少年と同じ症状を持つ少年を救うことで、自分自身を取り戻す突破口を開こうとする。少年の名はコール・シアー。何かにひどく怯え、母親にすら心を開こうとしないコールは、マルコムも最初から信用しようとしない。だが連日のように姿を現すマルコムに、コールは少しずつ心を開いて行く。やがてコールは、ある秘密を打ち明けるが……。

 ブルース・ウィリス主演のサイコ・ホラー映画。児童心理学者である主人公が少年の心の闇に分け入るうちに、そこにある特殊な能力に気づくという筋立て。ブルース・ウィリスが特殊能力のある少年と関わり合いを持つ話というと『マーキュリー・ライジング』を思い出すが、映画の持ち味はまるっきり違う。この映画に一番近い映画は『エクソシスト』です。おそらく、人物設定などはかなり影響を受けていると思う。主人公の少年は母子家庭だし、少年を救おうとする男は挫折を味わい、自分自身の能力に対して懐疑的になり、家庭にも問題を抱えている。少年の身に起こった出来事を精神病だと考えるのも『エクソシスト』と同じ。ラテン語の台詞やテープレコーダーが小道具として登場するのも共通している。具体的な恐怖描写のテクニックは、『セブン』や『シャイニング』を参考にしているようだ。

 ミステリー映画は、観客をいかにミスリードしていくかが作り手の腕の見せ所。その点、監督・脚本のM・ナイト・シャマランはかなりの凄腕。映画話法を知りつくした上で、それを逆手にとって観客を巧妙に煙に巻いて行く。一瞬先がまったく見えない展開に、ドキドキハラハラしっぱなしだった。映像や音で観客を驚かすショック描写より、次に何が出るかという期待感で観客を怖がらせるサスペンス描写が主体であることにも好感が持てる。監督は1970年生まれでまだ29歳。これが3本目の長編映画で、初のメジャー作品だというから恐れ入る。僕はすっかり降参してしまいました。

 ホラー映画ではありますが、映画を観終わった後に残るのは愛と勇気と感動です。ものすごく恐い映画ですが、後味はじつに爽やか。恐くて泣きべそをかくのではなく、感動で何度も涙が出そうになる映画です。ストーリー展開の巧妙さと観賞後の清々しさにつられて、何度もリピート鑑賞してしまいそうな映画です。この映画を映画館で観ると、映画が終わった後も席を立たずに、そのまま次の回を最初から全部観たい衝動に駆られるでしょう。

(原題:THE SIXTH SENSE)


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