恋は嵐のように

1999/07/08 UIP試写室
ベン・アフレックとサンドラ・ブロック主演のロード・ムービー。
最後のオチに絶対に納得できないぞ。by K. Hattori


 結婚式を目前に控えた男が、偶然出会った女性と恋に落ちてしまうというコメディ映画。主演はベン・アフレックとサンドラ・ブロック。久しぶりに見るブロック嬢の溌剌とした表情は魅力的でしたが、映画としてはまったくダメでした。面白いエピソードもあるし、映像面でのユニークな効果も楽しいのですが、最後のオチは一体何なんでしょう。主人公が婚約者を取るか、新しい女性との人生に賭けるかという究極の選択を迫られるわけで、どちらを選ぶかは観てのお楽しみ。おそらく結末を2通り作り、プレビューの反応を見ながらこの選択を選ばせたのでしょうが、説得力がまったくないぞ。これは筋立て云々じゃなくて、脚本に工夫もなければ、演出にも力がないのです。この場面はさんざん観客をじらした挙げ句、「やっぱりそうこなくっちゃね」と観客を納得させなければならないのに、僕はちっとも納得できなかった。なんだか虚脱感に襲われてグッタリしてしまいました。

 ニューヨークからジョージア州サバナに向かうベンは、数日後には恋人ブリジットの夫になる身。ところが離陸直前に飛行機が事故を起こす。もともと飛行機恐怖症の彼はすっかり震え上がり、陸路サバナへ向かうことになる。レンタカー屋は人でごった返していて、とても車を借りられない。やむなく彼は、飛行機のなかで知り合ったサラという女性の車に便乗することになった。しかし、ふたりの行く手を阻む事件や事故の数々。レンタカー、バス、列車などを次々に乗り継いでの旅は、紆余曲折があってとても一筋縄ではいかない。飛行機なら数時間の旅が、陸路を取ったばかりにジグザグ蛇行気味。ついでにベンの気持ちもサラに惹かれて蛇行してしまう。「僕はこのまま結婚していいのだろうか?」と、こんな土壇場になって悩み始めてしまうのだ。

 どんなことにも良い面も悪い面とがあって、結婚もその例外ではない。映画や小説には結婚の良い面ばかりがロマンチックに取り上げられがちだし、これから結婚しようという人は良い面にしか目を向けないけど、1度でも結婚したことのある人なら悪い面も十分に知っているし理解できると思う。結婚にバラ色の未来を夢見ているベンは、祖父から「わしの結婚は失敗だった」と告白されて狼狽。旅の道連れとなるサラも、バツイチで現在の夫とも離婚を考えているという設定だ。行く先々で「私はこうして結婚に失敗した」「結婚は人生の墓場だ」「結婚30年後の不倫で初めて幸せを感じた」という人々の体験談を聞きながら、ベンは目の前に迫る結婚に不安感を募らせる。登場する体験談がいちいちリアルで、身につまされながらも笑ってしまう。

 そんな内容の映画だけに、最後のオチにはもっと気を使ってほしかった。「いろいろ不安や心配はあるけど、やっぱり結婚は素晴らしい!」という結末にならないと、なんだか中途半端ではないか。この映画を観て、「結婚は素敵!」と思える人がどれだけいるのか? 主人公の先行きが、僕はすご〜く不安だぞ。ホントにいいのか?


(原題:FORCES OF NATURE)


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