'99東映アニメフェア

1999/03/01 東映第1試写室
『ドクタースランプ』『遊☆戯☆王』『デジモンアドベンチャー』の3本。
総上映時間が1時間38分とコンパクトなのがいい。by K. Hattori


 子供がいる人以外は、まず観ることがないと思われる東映のアニメフェア。子供がいる人でもほとんどの人は『ドラえもん』や『ウルトラマン』に行くと思うんだけど、近所に東映の劇場しかない人が観るのかな。どういう人たちが足を運ぶんだかわからない映画ですが、今回は『ドクタースランプ/アラレのびっくりバーン』『遊☆戯☆王』『デジモンアドベンチャー』の3本立て。どれもテレビアニメやゲームなどとのメディアミックス商品なので、売る側としては昨年東宝で大ヒットした『ポケットモンスター』と同じ路線を狙っているのでしょう。

 僕がかろうじて知っているのは『ドクタースランプ』ぐらいですが、これって僕の世代の人間から観ると「今さら」という感じがする映画だと思う。雑誌連載もされているし新キャラクターも登場するので、以前の作品のリメイクやリバイバルというわけではないのでしょうが、いずれにせよ新鮮味は皆無です。話が面白ければいいのですが、太陽のかけらを守ろうとする老怪盗の冒険という筋立ても、ヒネリがなくてやや退屈。ビジュアル・イメージも、どことなく宮崎駿の『天空の城ラピュタ』みたいで、二番煎じの匂いがプンプンしてしまいます。この話の背後には環境保護というテーマがあるのでしょうが、登場したアラレちゃんがいきなり山を崩し、木をなぎ倒して大暴れしているのだから、後から太陽のかけらを探し回っても、なんだか白々しいのです。

 『デジモンアドベンチャー』は、タマゴッチ型のモンスター育成ゲームをアニメ映画にしたもの。3月7日からテレビアニメも始まるそうなので、映画はそのパイロット版のような作りです。小さな子供が拾ってきた不思議な卵から奇妙な動物が孵化し、姿をどんどん変えながら恐竜のような姿の巨大な怪獣に成長する。最期はオウム型の怪獣と一騎打ち。この映画は、今回観た3本の中では一番見応えがありました。どこにでもありそうなマンモス団地で怪獣同士が戦う場面は、平成『ガメラ』シリーズに近いセンス・オブ・ワンダーに満ちています。我々がよく知っている日常の風景が、怪獣という異物によって一変してしまう面白さ。舞台が団地ということもあって、大友克洋の「童夢」も思い出した。わずか20分ほどの短編アニメ映画ですが、一見の価値はあります。

 最後の『遊☆戯☆王』は、「デュエルモンスターズ」というカードゲームをモチーフにした勝負ドラマ。同じゲームが実際に発売されていたり、映画に登場する秘密のカードを前売り券にくっつけて販売するなど、もろに商品タイアップが先行した映画になっている。これは映画商売のあり方としては、非常に正しい。しかし、これはマニアックすぎて、僕のようなシロウトのオジサンには中身がまったく理解できないのだ。麻雀のルールを知らない人が、麻雀劇画を読んでいるときのような空しさ。物語はどんどんヒートアップしてゆくのに、ルールを知らないとそれに取り残されてしまう。ま、こうした内容だから、3本立て興行の意味もあるのでしょうね。


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