おかしな二人2

1998/12/16 UIP試写室
1968年製作の『おかしな二人』から30年後を描くコメディ映画。
脚本家も主演ふたりも30年前と同じだ。by K. Hattori


 1968年に製作された、ジャック・レモンとウォルター・マッソー主演のコメディ映画『おかしな二人』の続編。なんと30年ぶりのパート2だ。レモンとマッソーの共演作は『おかしな二人』以外にも、『フロント・ページ』や『ラブリー・オールド・メン』シリーズなどがあり、映画界の人気コンビになっている。今回の映画では、主人公フィリックスとオスカーの再会が17年ぶりという設定になっているのだが、この理由がよくわからなかった。17年前の1981年には、ビリー・ワイルダー監督・脚本で『新・おかしな二人/バディ・バディ』という作品が作られているのだが、これはジャック・レモンとウォルター・マッソーの主演ながら、役名も違うし、別の作品だと思うんだけど……。

 何かにつけてアバウトな性格のオスカーと、几帳面で潔癖性のフィリックスは、かつてニューヨークのアパートで共同生活をしたことのある間柄。彼らはまるで正反対の性格なんですが、共にそそっかしいところが似ている。オスカーはずぼらでそそっかしく、フィリックスは神経質でそそっかしい。もともとがそそっかしいので、互いの欠点を補い合うことは不可能なのです。そんなふたりも、今ではすっかり老人になり、それぞれニューヨークとフロリダに別れて暮らしている。ところがそんなふたりの息子と娘が、ロスで知り合って結婚することになった。現地の空港で落ち合い再会を喜び合ったふたりは、レンタカーを借りて子供たちの新居に向かうのだが、そそっかしさでは誰にも負けないふたりの行く手には、当然のように数々の難関が待ちかまえていた……。

 オスカーとフィリックスの凸凹コンビぶりと、名優ふたりが織りなす会話の芸を楽しむ映画です。何をやってもチグハグな男ふたりが、数日の旅の中で友情を確かめ合うバディ・ムービーなのですが、主人公たちは30年来の友人で、互いの性格の違いや友情についてすっかり飲み込んでいる。こうなると、どんな事件が起こっても「さもありなん」と納得してしまうため、個性と個性がぶつかり合う衝撃はあまりない。こうなると必然的に、物語を面白くするには、ふたりが巻き込まれる事件の性質をエスカレートさせて行くしかない。オスカーとフィリックスが巻き込まれる事件が、どれもひどく誇張されているのは、こうした事情によるものだろう。

 映画の序盤から中盤にかけては、思いもかけない事件の連続に、主人公ふたりが次々と巻き込まれて行く展開。どのエピソードも面白いんですが、事件が大きすぎて、主人公ふたりの掛け合いが浮いている部分もある。むしろ面白くなるのは、最後に無事に空港にたどり着いて、オスカーが古い知人に出会った頃からでしょう。ここからは、年季の入った会話の芸が存分に楽しめる。

 最近のアメリカ映画は続編やシリーズ作品ばかりですが、さすがに30年後に同じ脚本家と主演俳優で続編を作るのは例が少ないと思う。これは、今この映画が作れたということを評価すべきで、内容は二の次ですね。

(原題:THE ODD COUPLE II)


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