マイ・フレンド・メモリー

1998/10/15 松竹第1試写室
話自体はよくある難病物だが、味付けと構成の上手さが光る。
原作はYA向け小説「フリーク・ザ・マイティ」。by K. Hattori


 図体ばかりでかい薄らバカと、チビで体力はないけど知恵の回る相棒という組み合わせは、アメリカ映画にはよくあるパターン。この映画はそれに「難病物」の要素をプラスし、家族というテーマを織り込み、心に深い傷を持つ少年が過去を克服するドラマを盛り込み、さらにアーサー王と円卓の騎士の伝承までちりばめた、小さいながらも盛りだくさんの内容。

 原作はロッドマン・フィルブリックの小説「フリーク・ザ・マイティ 勇士フリーク」で、原題もそれに倣った物。ところが配給会社の松竹富士は、これを『マイ・ライフ』『マイ・フレンド・フォーエバー』『マイ・ルーム』に続く、感動の「マイ」シリーズ第4弾と位置づけているそうな。すごく強引だな……。過去のヒット作にあやかって後発作品のタイトルをいじくり回すのは映画会社がよく使う手ですが、この映画の場合、過去3作の「マイ」シリーズ(マイるね、どうも……)の中でも、かなり高水準な映画になっていると思う。少なくとも『マイ・フレンド・フォーエバー』や『マイ・ルーム』よりは、映画として数段できがいい。

 映画の主人公はふたりの少年。難読症で中学を2度も落第しているマックスと、モルキオ症候群という難病で足が不自由なケビンです。僕は最初マックスが知的障害を持っているのかと思いましたが、じつはそうではない。彼は幼いころ目の前で起こった事件によって心に深い傷を受け、それが原因で周囲にとけ込むことができないのです。そんな彼が、隣の家に越してきた転校生ケビンとは親友になる。「アーサー王物語」のマニアであるケビンはマックスの肩にまたがり、「僕が頭で、君が足だ。ふたりで勇士フリークとして世のために働こう」と宣言する。彼らは力を合わせて、不良グループたちと戦い、見事勝利をおさめる。級友たちからフリーク(化け物)と陰口をたたかれていたふたりにとって、それ以降「フリーク」の名は尊称に変わるのです。

 マックスを演じているのは、『マイティ・ダック』シリーズでおなじみのエルデン・ヘンソン。ケビンを演じているのは、(あの)マコーレー・カルキンの弟キーラン・カルキン。メガネを外してにっこり笑うと、名子役だった兄にうりふたつ。その母を演じているのがシャロン・ストーンですが、彼女がこんなに普通の役を演じるのは、リチャード・ギアの妻を演じた『わかれ路』以来かもしれない。役どころとしては、『マイ・フレンド・フォーエバー』のアナベラ・シオラね。マックスの祖父母を、ジーナ・ローランズとハリー・ディーン・スタントンが演じているのも渋い。(この映画は新旧『グロリア』の共演作だ!)『Xファイル』のジリアン・アンダーソンも脇役で出演。テーマ曲はスティングが歌ってます。映画の規模の割に、出演者は超豪華だなぁ。

 物語の結末は『マイ・ガール』(マコーレー・カルキン出演作だ!)と同じパターン。伝説の騎士たちが現れる場面は、『フィッシャー・キング』も入ってます!

(原題:The Mighty)


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