アルマゲドン

1998/10/01 イマジカ第1試写室
特大の小惑星が地球との衝突。人類は生き延びられるのか。
序盤は面白いが、中盤以降は間延び。by K. Hattori


 試写室ではさして評判にもならなかった『ディープ・インパクト』が大ヒットして、映画に関わる商売をしている人たちはみんなビックリ。その余勢を駆って、この映画もヒットするんだろうか? 彗星と小惑星という違いはあるものの、巨大な天体が地球との衝突軌道に乗っているのが発見され、それを人間たちが必死の努力で回避させようとする基本アイデアは両作品共通。しかし両作品のテイストはまるで違う。人類存亡の危機を迎えて、人間たちが右往左往しながらも最後に誰とどんな時を過ごすか考える部分に重きを置いた『ディープ・インパクト』に対し、『アルマゲドン』は危機を回避するために働くスペシャリストたちのヒロイックな活躍ぶりを描く冒険活劇。個々のエピソードでは涙を振り絞るものの映画としてのまとまりに欠けた『ディープ・インパクト』より、ずっとオーソドックスな映画になっている。

 ある日突然世界中を襲った隕石の落下事件。だがそれは、ほんの前触れにすぎなかった。各地の天文台は、地球との衝突軌道に乗る小惑星を観測。その大きさはテキサス州とほぼ同じ。このまま衝突すれば地球の全生物は死滅する。残された時間はわずか18日。衝突を回避するには小惑星にドリルで穴をあけ、核爆弾で内部から破壊するしかない。NASAで訓練中の飛行士たちから精鋭のメンバーを集め、穴掘りのエキスパート、ベテランの石油採掘技術者ハリー・スタンパーが彼らの教育係として呼び出された。穴掘りには特殊な長年の経験によって身につけた、特殊な技術が必要だ。ハリーは自分たちも含めた全人類の運命を、素人穴掘り集団には任せられない。「俺たちが行くぜ」「よし、行ってこい!」というわけで、簡単にハリーたちが宇宙に行くことになった。

 ハリーを演じているのはブルース・ウィリス。リブ・タイラーが演じる彼の娘グレースの恋人でもあるハリーの部下A.J.を演じるのは、『グッド・ウィル・ハンティング』のベン・アフレック。他にもスティーブ・ブシェミ、『この森で、天使はバスを降りた』のウィル・パットン、『スリング・ブレイド』のビリー・ボブ・ソーントン、『ファーゴ』のピーター・ストーメアなどが出演する、豪華なキャスティング。松田聖子も観光客役で、映画の序盤にチラリと登場。

 映画の序盤で、白昼のマンハッタンに隕石が雨あられと降り注ぐ様子を見せ、これがすごい迫力。主人公たちの訓練風景や宇宙に出てからの活躍ぶりはむしろ退屈ですが、ダレて来た頃に上海に隕石が落ちたり、パリに特大の隕石が落ちて目が覚める。この映画は結局、隕石が都市を破壊する絵づらを観て楽しむ作品です。この隕石のシーンは本当に迫力があって、観ていると興奮します。他のシーンは、その興奮が収まるまで惰性で観ているだけ。興奮が収まると、またドカンとくる。その繰り返し。

 正直言って、これで2時間半は長い。中盤のエピソードを切りつめて1時間40分にできる映画です。『ザ・ロック』は面白かったのに、どうしたマイケル・ベイ!

(原題:ARMAGEDDON)


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