ヤマトナデシコ

1998/01/22 東和映画試写室
愛人ときれいに別れたいと考えた女の子が昔の恋人に恋人役を依頼。
主人公の性格が好きになれず、楽しめなかった。by K. Hattori



 あ〜、この主人公が好きになれないので、最後まで好印象を持てない映画だった。それなりに面白い場面はあるんだけど、僕は彼女みたいなタイプの女が駄目だな。そんな駄目な女にかかずりあって、一緒にいられる幸せをかみしめてる男も嫌いだ。誰かビシッと引導を渡してやれ! う〜、観ていてすごくイライラしたぞ。

 スナックでバイトしている24歳の優香が主人公。彼女は店の客3人と愛人関係にあるのだが、それらすべてを清算し、新しい生活を始めたいという気分に突然なる。他に好きな男ができたとか、別の土地に引っ越したいとか、そういう合理的な理由ではなく、これは単純に「気分」の問題。でもそんな理由を男たちに話したところで、どうせ理解してもらえっこない。別れ話がすんなりいかないことは目に見えている。そこで、誰か適当な男を「新しい恋人」に仕立て上げ、新しい彼ができたから別れたいと説明すれば、後腐れがなさそうだと考えた。友人に亭主を貸してくれと頼んでも断られ、しかたなく1年前に別れた恋人に頼むことになるのだが……。

 自分で勝手に男たちと付き合っているのだから、別れるときは勝手に別れろと言いたい。人様を巻き込みなさるな。彼女に引っ張りまわされる昔の彼氏というのもだらしがない。仲良くしている「すし屋のシャロン・ストーン」がいるなら、昔の女なんかに構っているんじゃないよ。彼女が知ったら泣くよ。結局、この男はいまだに主人公に未練があるわけだ。それに気づかないまま、呑気に恋人役を依頼する主人公の鈍感さにうんざりしたりもする。それに何より、主人公の男を選ぶ趣味の悪さにゲンナリしてしまうんだよね。愛人だという3人の男たちが、そろいもそろってロクでもない男たちでさ。ま、それがリアルなのかもしれないけど、あの顔ぶれを見ただけで、彼女の値打ちはずいぶんと下がるよ。あんな男たちと付き合っているのだから、どうせ本人だってロクでもない女に決まってます。本人は今までの自分の生き方を、ちっとも悪いとか、間違っていたとは思っていない。彼女は3人の愛人たちと別れた後も、どうせ似たような生き方を続けて行くのです。

 こんな性格の悪い主人公でも、どこかに弱いところや可愛いところがあれば許せるのですが、この映画はそんな彼女の美点を見せてくれない。強いて言えば、裏にたくらみや下心がない、開けっぴろげで明るい性格がいいのかもしれないけど、性格に加えて下半身も開けっぴろげだから困っちゃうんだよね。

 3人の愛人たちのキャラクターがなかなか面白い。クライマックスは、3人がそろってスナックに集まるところでしょう。自称舞台俳優、小南鈴之助の個性は他を圧して強烈すぎる。全体的に言えることだけど、全編アフレコに加え、編集のテンポが悪くて会話が死んでいるのが残念。このクライマックスも、もっとテンポよく編集されていれば爆笑できるんだけどね。会話の間隔をもっと短く詰めた方がいいような気がしました。


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