ダイ・ハード3

1995/05/31 よみうりホール(試写会)
他人が作った『ダイ・ハード2』を丸ごと無視したマクティアナン。
これぞ『ダイ・ハード』の正当な続編。by K. Hattori



 人気映画には続編がつきもの。しかし、第2作目以降二の句が継げなくなった企画はどうするか。原点回帰。過去の続編を無視して、無理矢理1作目の続編を作るのである。僕はこれを〈ゴジラ方式〉と命名する。『ダイ・ハード3』の世界では、どうやら前作『ダイ・ハード2』のエピソードが無視されているらしい。妻と子を追ってロス警察に移ったはずのマクレーン刑事は、なぜかまだニューヨークにいるし、ロスの妻とは電話でのささいな口論が原因で1年間も音信不通だ。彼は飲んだくれて停職中。そんな彼のもとに、サイモンと名乗る爆弾テロリストから名指しの指名が入る。サイモンがマクレーンに要求する、命がけのなぞなぞゲーム。

 続編に求められる要素が、ここにはほとんどない。普通は前作に登場した人物たちがこぞって再登場し、同窓会的な雰囲気を楽しむのが続編というものだ。そういう意味では『ダイ・ハード2』は良くできた映画だった。今回の映画では、ブルース・ウィリス以外の再登場人物がいない。マクレーンの妻さえ登場しない。ナカトミビルでの大活躍にも関わらず、ニューヨークでのマクレーンは三流のレッテルを貼られたデキのわるい刑事ともくされているらしい。

 とにかく、ここに来て徹底的に第1作目の反対のことをやろうとする姿勢は買える。1作目がマクレーンの天涯孤独な戦いを描いているのに対し、この第3作ではチームプレイ主体。マクレーンには黒人の相棒ゼウスもいる。ゼウスを演じるのは僕の大好きなサミュエル・L・ジャクソン。ブルース・ウィリスとは『パルプ・フィクション』で共演していますね。また、1作目がナカトミビルという限定された空間を舞台にしていたのに対し、最新作ではニューヨーク全体が舞台。この広大な空間を、ある時は警察の車で、ある時はタクシーで、ある時は地下鉄で、ある時は2本の脚で、ある時はメルセデスで、ある時はダンプカーで縦横無尽に移動しまくる。最後はタンカーやヘリコプターまで登場する、乗り物図鑑のような映画です。

 さんざんもめた脚本はアイディア満載。最初から最後まで派手な見せ場の連続で、まったく飽きさせない。1作目に濃厚に漂っていた人間の心理ドラマをバッサリと捨て去り、ひたすらスリルとアクションを追求して行く。むしろ人物主体に見て行くと、怪訝なところや無駄なところ、矛盾点や説明不足な点なども大いに目に付くはずだ。しかし、四の五の言わせず次々と大がかりな爆発・炎上・カーチェイス・大洪水・綱渡り・殴り合いと、これでもかこれでもかと矢継ぎ早に繰り出されるアクションシーンの連続に目が回り頭がフラフラになること請け合い。この迫力は、絶対にビデオでは伝わらない。絶対に映画館で観る映画です。7月1日より公開。



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