バッド・ガールズ

1994/11/15
荒くれ男たちを相手にしてきた西部の娼婦たちが暴力に立ち向かう。
マデリン・ストウがとにかくかっこいい。バリモアも素敵。by K. Hattori


 どうもイマイチなんだなぁ。オープニングの甘ったるい音楽も気になるし、全体の構成もしつこいんだ。なにしろ救出劇が4回ですよ。それぞれ趣向は変えているんだけど、仏の顔も三度という言葉もあるよね。救出劇前後というのは、どうしても物語の流れが滞ってしまう。もう少しコンパクトにまとめて、その分アクションをたっぷり見せて欲しかったなぁ。主人公たちがあんまり魅力的なだけに、このチンタラした展開は、ちょっといただけないぞ。

 マデリーン・ストウは『瞳が忘れない/ブリンク』を思わせる、ぶっきらぼうで不機嫌そうな演技。彼女は『不法侵入』や『ラスト・オブ・モヒカン』で演じていた受身の女性たちより、こうした積極的な女性の方が似合うね。主役4人の中では、ストウが一番決まっていた。物語のしょっぱなで、最初に銃をぶっ放すのはストウだけど、これがかっこいいんだ。ちなみにガンマン(ガンウーマン)スタイルが一番似合わなかったのはアンディ・マクドウェルで、ストウに負けず劣らず良かったのがドリュー・バリモア。彼女が酒をあおるシーンは、年季が入っているぞ。わはは。メアリー・スチューアート・マスターソンは、いかにも田舎のネェチャン。はまりすぎて、逆に埋没してしまったなぁ。

 プロットは悪くないんだから、難点があるとすればやっぱり物語の組立方でしょう。4人の女たち個々のエピソードがバラバラで、アンサンブルとしてまとまってこない。〈バッド・ガールズ〉というチームの連帯感のようなものが、なかなか伝わってこないんだよね。途中からかかわってくる男達も、決定的な存在感に欠けるんだなぁ。みんな似たような面構えで、便宜的に善玉悪玉に振り分けているって感じなのだ。物語の後半で、ピンカートン事務所の探偵たちの影が薄くなるのも残念。あの黒服ふたりがもっと積極的に物語にからんでくると、また面白い展開になったと思うんだけど。

 全体的に言えることだけど、広大な空間を縦横無尽に移動しているという開放感が、ちょっと欠けるんじゃないかな。これって、西部劇としては致命的な欠点だよね。画面に広がりがなくて、みょうにセセコマシイのはなぜなんでしょう。どの場面を見ても、セットの匂いがプンプンするんだなぁ。

 ま、それでもこの映画は、今年封切られた何本かの西部劇の中では、たぶん最も楽しい映画のひとつだと思う。活劇がちゃんと活劇になっているんだよね。退屈な『ワイアット・アープ』なんかより、この映画の方が何倍も楽しい。女たちがストウを救出するシーン、暴走した馬車を追跡するシーン、最後のガンファイト。中でも火の玉のように大活躍するドリュー・バリモアは、この映画の財産だな。彼女は最近復調めざましいぞ。今後もがんばれ。


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