ミセス・ダウト

1996/05/29
良くも悪くもロビン・ウィリアムスの個人芸の世界。
ギャグに冴えはない。by K. Hattori



 ミセス・ダウトファイアーのヘソが嫌い。気持ち悪い。グロテスク。やりすぎ。このせいで物語にノれなかった。特撮や特殊メイクに少しでも知識があれば、あのトイレでの早変わりが時間的に不可能であることは一目瞭然。この時点で変装トリックはリアリズムから乖離しているのだから、もっとマンガに徹するべきでした。ロビン・ウィリアムズのキャラクターならその方が100倍は魅力的になったはずなのに……。僕が期待したのは『アラジン』のジニーがそのまま実写で画面の中に現れることだったんだけど、それは期待はずれだった。主人公は腰までうっとうしい日常描写に漬かってしまい、重苦しい説教調の台詞もあって軽やかさやしなやかさに欠ける。物語の構成面では、ミセス・ダウトファイアーの正体が物語り中盤で上の子供二人にばれてしまったのが失敗だと思う。これではレストランで本格的に正体がばれたときのばつの悪さやショックが弱まってしまう。レストランのシーンは最高のクライマックスになるはずなのに、なんだか低調なんだよなぁ。この素材、このキャスティングで、この程度の映画にしか仕上げられないクリス・コロンバスって、ちょっと困った人です。


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