ヨーロッパ

1992/10/05 シネマライズ渋谷
書き割りのような印象的な美術とパートカラーの映像。
イメージの中でサスペンスが盛り上がる。by K. Hattori



 主演のジャン=マルク・バールは『グランブルー(グレートブルー)』にも出演していた俳優。彼が若いころの藤田進に似ているということを、今日になって発見した。(『グランブルー』の時には気がつかなかった。)笑った顔が『加藤隼戦闘隊』や『姿三四郎』の頃の藤田にソックリだ。

 映画はパートカラーだが、これは大林宣彦監督が『ふたり』でみせたようなハイテク(ハイビジョンなど)を使ったものではなく、おそらくは全てスクリーン・プロセスによる合成。このテクニックを使った合成シーンは、カラーとモノクロの合成だけでなく、多くのシーンで使われているようだ。明らかにそれとわかる合成なのだが、ナレーションの多用とも相まって演劇的効果をあげている。

 物語は、第二次大戦直後のドイツを舞台にしたサスペンス。主人公はドイツ系アメリカ人。父の祖国復興のために単身ドイツに渡り、鉄道会社の見習い車掌になる。この平凡な男が、敗戦ドイツで活動を続ける「人狼」と呼ばれる反米テロ組織の活動に巻き込まれて行く、という話。

 ストーリーを追うことよりも、登場人物たちの心理をどのような映像で表現しているかに注目すべき映画でしょう。好き嫌いは割れそう。とは言っても、好きな人しか観に行かないような映画ではある。僕は好きです。



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