007 スカイフォール

2012/10/30 TOHOシネマズ日劇3
ジェームズ・ボンドが死んでMI6は窮地に追い込まれる。
007シリーズ50周年記念作品。by K. Hattori

Skyfall  イギリス情報局秘密情報部、通称MI6の国際エージェント、コードネーム007ことジェームズ・ボンドの活躍を描くシリーズ最新作。今回の映画で23作目になるが、1962年に公開されたシリーズ1作目『007 ドクター・ノオ』(最初の邦題は『007は殺しの番号』)の公開から50年という記念作品になっている。映画は記念作品としての仕掛けがあちこちに施されていて、ファンなら映画を観ながら随所でニヤリとするはずだ。シリーズになくてはならない、あんな人やこんな人が、新しい配役で参加してくるのもお楽しみ。映画を最後まで観ると、もう次のシリーズ24作目が早く観たくて仕方なくなってしまうのだ。この引きの強さは、ダニエル・クレイグ版ボンドになってからでは一番ではなかろうか。

 MI6が全世界のテロ組織に潜入させているエージェントのリストが強奪され、リストを奪い返そうとしたボンドは犯人と格闘の末、谷底に転落して行方不明になる。重要機密を盗まれ、トップエージェントを失ったMI6に追い打ちをかけるように、本部は爆破され、局長Mには犯人から脅迫状が届く。「お前の罪を思い出せ!」。だが長年諜報任務にあたっていたMには心当たりが多すぎて、犯人の目星はまったく付かない。やがてネットには強奪されたリストの一部が公開され、潜入エージェントのうち何人かが殺された。窮地に追い込まれるM。だがそこに、九死に一生を得たボンドが現れる。肉体的にも精神的にも大きなダメージを受けていたボンドだったが、早速リスト奪還と犯人追跡の任務に復帰。小さな手がかりから、犯人の一味を追って上海に飛ぶのだった。

 映画冒頭を静かな室内シーンから始め、そこからボンドが屋外の出ると、いきなりイスタンブールの雑踏が広がっているというオープニングからワクワクする。車を使ってリスト強奪犯を追っていくカーチェイス。車はバイクに乗り替えられ、バイク同士の追いかけっこは狭い路地から屋根の上へと移動。さらにはバイクも乗り捨てて走る列車の屋根の上に飛び降り、ショベルカーを使ったパンチの効いたアクションをはさんで、ボンドがいよいよ列車の屋根で犯人を追い詰めていく。007シリーズは冒頭のアクションに前半の大きな山があるのだが、このアクションは見応えがあった。それに何と言っても、この大活劇がボンドの死(行方不明)という大きな挫折に終わるのがいい。また今回のターゲットはMI6本体であり、局長のMが敵の矢面に立たされることになる。この挫折と危機をどう乗り越えて行くかが、この映画中盤以降の大きなドラマを生み出して行く。

 物語の焦点がMI6とM、ボンドと敵役シルヴァの周辺に固まり、世界的スケールのドラマになっていないのだが、その部分は人物を掘り下げることで補っている。監督は『アメリカン・ビューティー』のアカデミー賞監督サム・メンデスだ。

(原題:Skyfall)

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12月1日公開予定 ○○系
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2012年|2時間23分|アメリカ、イギリス|カラー|スコープサイズ|ドルビーデジタル、Datasat、SDDS、Sonics-DDP
関連ホームページ:http://www.skyfall.jp
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
サントラCD:スカイフォール
主題歌CD:スカイフォール(アデル)
関連DVD:007シリーズ
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