映画 桜蘭高校ホスト部

2012/02/07 SPE試写室
アニメ化もされた人気コミックのテレビドラマ版を映画化。
この手の映画も嫌いじゃありません!by K. Hattori

Ouranhosuto  日本中のお金持ちの子供ばかりが集まる私立桜蘭学院高等部には、学内のイケメン男子を集めたホスト部(ホストクラブ)なる部活動がある。庶民出身ながら成績優秀な特待生として桜蘭高校に入学した藤岡ハルヒ(女性)は、入学早々ホスト部の部室にあった高価な壺を壊してしまったことから、男装してホスト部の部員として活動することを強いられる。そんな桜蘭高校に、シンガポールから短期留学生としてやってきたのがモナール財閥の令嬢ミシェルだった。彼女はホスト部の部長である須王環に接近し、ホスト部には不穏な不協和音が。じつはミシェルには、周囲に明かしていない来日の本当の目的があったのだ……。

 原作は少女マンガ誌「LaLa」に2002年から2010年まで連載され、2006年にはアニメ化、2011年にはドラマ化もされた人気作品。今回の映画はテレビドラマ版の続編で、スタッフとキャストはドラマ版を引き継いだものになっている。僕は原作もアニメ版もドラマ版もまったく知らなかったのだが、この映画は面白かった。何と言っても、いかにも漫画的な設定や表現を、何の臆面もなくそのまま映像化しているのが楽しく思える。登場する若い俳優たちが金髪のカツラをかぶって大まじめに芝居をしているところなどはバカバカしく思えて苦笑するのだが、その馬鹿馬鹿しさを突き抜けたところに、少女漫画の世界がきちんと再構成されているような気もするのだ。

 テレビドラマの映画版というと普通は番外編であって、物語の中では人間関係などがあまり動かないのが常道。この映画もそのあたりは踏まえていて、大きく動くのは短期留学生ミシェルの境遇であって、ホスト部のメンバーやその周囲の関係は外見上まったく何も変わらない。ただしそれぞれの内面的な葛藤などを掘り下げて、少しずつキャラクターを成長させている。ドラマ版の続編を作る予定があるのか、はたまた映画版でシリーズ化させていくのか、あるいはこれで実写版は完結なのか……。そのあたりは不明だが、この作品で初めて『桜蘭高校ホスト部』を知った側には、こうした主人公たちの成長があった方が映画らしいものに思えるのだ。

 出演している若い俳優たちを僕はほとんど知らなかったのだが、「天装戦隊ゴセイジャー」の千葉雄大は声でわかった。双子の一方を演じた高木万平も、スーパー戦隊シリーズの「獣拳戦隊ゲキレンジャー」に出ていたようだ。モデル出身にしろ戦隊ものでのデビューにしろ、その後も継続して作品に出続けるのは結構大変そう。こうした若い俳優が出演する映画は5年もすると出演者の半数は芸能界を引退していて、10年もすれば誰も残っていないということもある。この映画もあと5年、10年すれば、「この人だれ?」という顔ぶればかりになってしまうだろう。そういう意味でもこうした作品は、今この時、この瞬間に、出演者たちの旬の魅力を楽しむものだと思う。

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3月17日公開予定 新宿ピカデリー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2012年|1時間45分|日本|カラー|ビスタサイズ|SRD、SR
関連ホームページ:http://www.tbs.co.jp/ouran_movie/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
関連書籍:映画&原作「桜蘭高校ホスト部」パーフェクトガイド
原作:桜蘭高校ホスト部
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