スーパー戦隊35作目を記念して放送されている「海賊戦隊ゴーカイジャー」は、１月末の最終回に向けて現在終盤のクライマックスに突入中。それと同時期に公開されるこの劇場版は、テレビ放送版より少し前の時期を扱っている番外編的な内容。例年この時期には、スーパー戦隊前シリーズがゲスト出演する２戦隊コラボ作品に次回放映の新戦隊がゲスト出演する番組が用意されるのだが、今回は前番組「天装戦隊ゴセイジャー」とのコラボ作『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』が昨年６月に公開済み。１月の映画でどんな趣向を凝らしてくれるのかと思ったら、スーパー戦隊とは別系統のメタルヒーローシリーズから「宇宙刑事ギャバン」を連れて来た。何でも今年はメタルヒーロー誕生30周年だそうで、この映画はそれを記念する作品でもあるのだ。他にも過去のシリーズから多くのゲストが出演し、次回番組「特命戦隊ゴーバスターズ」からも３人がゲスト出演している。
ゴーカイジャーたちの乗るゴーカイガレオンが、宇宙警察の超次元高速機ドルギランに拿捕され、５人は銀河に名を轟かせる凄腕の宇宙刑事ギャバンに逮捕されてしまう。宇宙警察総裁ウィーバルのもとに連れてこられた５人だったが、ウィーバルの正体はザンギャックの魔空監獄獄長アシュラーダだった。ギャバンは宇宙警察に入り込んだザンギャックをあぶり出すため、ゴーカイジャーたちを利用するという荒技に出たのだ。ゴーカイジャーたちはゴーカイシルバーに無事救出されたが、ギャバンはそのまま捕らえられて魔空監獄に送り込まれてしまう。ギャバンを救出するため、ゴーカイジャーたちは魔空監獄に潜入するのだが……。
今回の映画は30年前にギャバンを演じた大葉健二が、30年後の今もそのままギャバン役で出演しているのが一番の見どころ。彼は「バトルフィーバーＪ」のバトルケニア役としてゴーカイジャーのテレビ放送に出演し、さらに「電子戦隊デンジマン」のデンジブルー役でも『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』に出演しているのだが、これまで同一画面内でこれらのヒーローが顔を合わせることはなかったし、演じているのが同じ大葉健二だということは何となくタブーになっていた。ところが今回の映画では、変身前のバトルケニアとデンジブルーとギャバンが、区別が付かないほど似ているということが劇中のネタになっている。最後は特殊撮影で合成された３人の大葉健二が、３ヒーローに変身してポーズを決めるというファンへのサービスシーンまであって、今回の映画は完全に大葉健二個人のための特別編になっている。
その大葉健二のアクションは切れ味が鋭くスピードもあって、とても56歳とは思えぬシャープな身のこなし。今回の映画は実質的に、ギャバンを演じた大葉健二の主演作だと思う。
DVD：海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン
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