恋とニュースのつくり方

2010/12/20 パラマウント試写室
新人女性プロデューサーはダメダメ朝番組を復活させられるか?
働く女性のためのおとぎ話。by K. Hattori

Koinews  努めていたローカルテレビ局を突然クビになったベッキーは、ニューヨークのネットワーク局ibsに採用される。与えられた仕事は、長年続いている朝のワイドショー番組「デイブレイク」のチーフプロデューサー。同時間帯で常に最下位の視聴率にあえぐこの番組は、局内でもお荷物扱いで誰も担当になりたがらない。そんなわけで若いベッキーにおはちが回ってきたわけだが、これを千載一遇のチャンスと考えた彼女はすぐさま番組改革に乗り出す。まずは古顔の男性キャスターをクビにし、新しい番組の顔として、契約に縛られ局内でくすぶっていた往年の報道キャスター、マイク・ポメロイを引っ張ってくる。ところが報道の仕事と過去の栄光に未練たらたらのマイクは、まったく番組に乗り気じゃない。彼とコンビを組まされる女性キャスターのコリーンはへそを曲げ、出演者たちの関係は最悪。そんな時、ベッキーは部長に呼び出されて番組の打ち切りを告げられる。だがベッキーは食い下がる。6週間以内に視聴率がアップしたら、番組は存続させてほしい! ここからベッキーによる、なりふり構わない番組てこ入れ作戦がはじまる。

 若くて美人で才能もあるヒロインが、努力と実績を周囲に認められ、さらにイケメンの恋人もできて万々歳という物語。なんだか昔、似たような映画を観た。マイク・ニコルズがメラニー・グリフィス主演で撮った『ワーキング・ガール』(1988)だ。あの時はハリソン・フォードが、ヒロインの恋人役で登場してた。それが今回は、ヒロインとは恋愛がらみの話題ではまったくからまないあたりに、月日の移り変わりを感じてしまうのであった……。今回の映画の主演は『きみに読む物語』のレイチェル・マクアダムス。口の大きな女優で、表情がじつに豊かなのがいい。古典的な美人の範疇からは外れるのだろうが、口もとのちょっとした変化で表情がくるくる変化すると、観ていてついそこに気持ちが引き寄せられてしまう。観客の感情移入をそそる大きな口なのだ。

 監督は『ノッティングヒルの恋人』のロジャー・ミッシェルだが、これはむしろ『プラダを来た悪魔』の脚本家アライン・ブロッシュ・マッケンナに柳の下のどじょうを狙わせた映画だと思う。『プラダ〜』がファッション誌の世界を舞台にした物語だとしたら、こちらはテレビ局を舞台にした物語。どちらのヒロインも性格の悪い上役にこき使われ、仕事を覚える中で自分を見失いかけるが、最後は自分自身が本当に求めているものが何かに気づく。ただし『プラダ〜』で描かれていたファッション誌の世界の特殊性に比べると、テレビの世界は何らかの形で我々の見知ったものだったりするから新鮮味は薄い。

 しかし僕はこの映画が好きだ。ハリソン・フォードの不機嫌そうな顔がいい。『インディ・ジョーンズ4』の冴えなさが嘘のように、この映画のフォードは完全に主人公を食っている。

(原題:Morning Glory)

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2月25日公開予定 丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
2010年|1時間47分|アメリカ|カラー|シネマスコープ|DTS、SRD、SDDS、SR
関連ホームページ:http://www.koi-news.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:恋とニュースのつくり方
ノベライズ(洋書)Morning Glory: A Novel
関連DVD:ロジャー・ミッシェル監督
関連DVD:レイチェル・マクアダムス
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