ウルトラマンゼロ THE MOVIE

超決戦!ベリアル銀河帝国

2010/12/10 松竹試写室
ウルトラマン、ミラーマン、ファイヤーマン、ジャンボーグA。
円谷特撮ヒーロー大結集に感激。by K. Hattori

Ultramanzero  昨年公開された『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』の続編で、前作から登場したウルトラマンゼロが、悪玉ウルトラマンであるウルトラマンベリアル(改めカイザーベリアル)と再び戦う姿を描く。設定などは前作を引き継いでいるのだが、そんなもの知らなくてもウルトラマンの世界観を何となく知っていればそれでOK。物語自体は前作の世界や設定を引き継ぎながら、今回は世界を丸ごと入れ替えるという荒技で全体をリフレッシュさせている。何しろこの映画は、それまでさんざん描かれてきた「我々の宇宙」とは次元の異なる「別の宇宙」を舞台にしているのだ。要するにパラレルワールドという奥の手を出してきたわけだが、僕はこの奥の手が気に入った。このおかげで、ミラーマン、ファイヤーマン、ジャンボーグA(エース)といった懐かしの円谷ヒーローたちが、新しいウルトラマンと共演する夢のような世界が実現しているのだから!

 M78星雲にあるウルトラマンたちの故郷「光の国」が、外宇宙からの侵入者に攻撃された。だが次元を超える超空間を通って敵のいる宇宙に向かえるのは、ウルトラ戦士たちの中でもひとりだけ。ウルトラマンたちはその役目を、ウルトラセブンの息子ウルトラマンゼロに託す。たったひとりの孤独な戦いに向かったゼロを出迎えたのは、巨大ロボットのダークプロスに傷つけられ重傷を負った青年ランだった。ゼロはランと一体化し、ランの弟ナオや、ベリアルに故郷を蹂躙されたエメラナ姫と共に、世界を救う伝説の「バラージの盾」を求める旅に出る。そこで出会うのは、鏡の星からやってきたミラーナイト、宇宙海賊たちの用心棒グレンファイヤーなどの超人たち。さらにエメラナ姫を守る宇宙船ジャンバードも、敵との戦いに向かうためジャンボットに変身。彼らはカイザーベリアルの野望を阻み世界を救えるのか? 彼らは無事に、バラージの盾を見つけることができるのだろうか?

 アクションの切れ味がなかなかシャープで見応え十分。映画序盤でミラーナイトが戦うシーンから「おっ、これはスゴイかも」と思ったのだが、その後もアクションシーンは中だるみも尻すぼみもすることなく最後まで高いテンションを維持している。これがまず、この映画の一番の長所。歴代ウルトラ戦士をあえて切り捨て、新参者のウルトラマンゼロと生まれ変わった70年代円谷ヒーローたちを集めた構成もいい。「叫べナオ、ジャンファイトだ!」などという台詞に、耳の奥の方で子門真人の歌声が聞こえたような気がしてついニヤニヤしてしまう。こんなものはもはや「子供を連れたお父さん、お母さん向けのサービス」ですらない、作り手の円谷特撮ヒーロー番組に対する偏愛とオマージュ以外の何者でもない。CG世代の若い製作スタッフたちが、70年代の先輩たちに捧げたリスペクト。それが今回の『ウルトラマンゼロ』という映画に結実しているのだ。

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12月23日(祝)公開予定 新宿ピカデリーほか全国ロードショー
配給:松竹 宣伝:スキップ
2010年|1時間40分|日本|カラー|サイズ|サウンド
関連ホームページ:http://www.ultramanzero.com/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国
サントラCD:ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国
主題歌CD:すすめ!ウルトラマンゼロ
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