ケータイ刑事 THE MOVIE 3

モーニング娘。救出大作戦!〜パンドラの箱の秘密

2010/11/26 京橋テアトル試写室
何者かに突然誘拐されたモーニング娘。を救い出せ!
人気ドラマシリーズの劇場版第3弾。by K. Hattori

Ketaideka3  2002年からBS-TBSとTBSの深夜ドラマ枠で放送されている人気ドラマ、「ケータイ刑事 銭形」シリーズの劇場版第3弾。このシリーズは現役女子高生で刑事の「銭形四姉妹」が主人公で、初期には宮崎あおい、堀北真希、黒川芽以、夏帆が四姉妹を演じていた。その後ヒロインが初期四姉妹からその従姉妹の四姉妹にバトンタッチされ、小出早織(早織)、大政絢、岡本あずさ、岡本杏理に交代。今回の映画版では新四姉妹のうち、二女以下の3名がケータイ刑事として出演している。四姉妹のうち長女を外して映画化されるのは、映画版第1作目を踏襲してのものだろうか。

 この手の映画はテレビドラマや映画シリーズの同窓会みたいな面があり、お馴染みの顔ぶれとお馴染みの台詞が物語の中に散りばめられていれば、それでファンが喜ぶという仕掛けになっている。これは『男はつらいよ』から『踊る大捜査線』まで通じる、シリーズ映画に不変の法則だ。そのためテレビ版も知らない、映画版も観ていないという僕のような人間が、映画版の最新作だけ観ても面白さは半分なのだ。それでも一応ルーティンのギャグらしいところはそれらしい見当が付くのは、演じている側も撮る側もそこだけへんにリラックスしているからかもしれない。このちょっと気の抜けたところが、初見であっても「ああ、やってるやってる〜」というムードを生み出すのだ。面白さが理解できたとは言えないが、映画の楽しさは伝わってくる。

 今回の映画はモーニング娘。が物語に大きくからんでくるのが売りで、タイトルにも堂々と「モーニング娘。救出大作戦!」と銘打っている。そのわりには物語の中にモーニング娘。が強く絡んでこないところが、この映画の欠点ではないだろうか。この映画のモーニング娘。は、カメオ出演に毛が生えた程度のものでしかない。映画の企画準備段階でモーニング娘。の出演がどの程度意識されていたのかは不明だが、出演させるなら出演させるで、それ相応の出し方というものを考えておいた方がいいと思うのだ。

 僕がこれで思い出したのは、大森一樹監督が2001年に撮った『走れ!イチロー』という映画。これは当時大リーグに移籍したことが話題になっていたイチローをネタにした映画なのだが、劇中にイチロー本人は出演していない。資料映像の使い回しと編集で、主人公たちがイチローとすれ違ったように見せているのだが、その映像はVTR撮りで他の映像と明らかに質感が異なり、編集でつないだことが誰の目にもわかるものだった。それでもこの映画はちゃんと、タイトルにイチローが出ているだけのことはある映画になっていた。物語がイチローを中心に回っていて、他の誰にも代替不可能なキャラクターになっているからだ。ならば本作のモーニング娘。にも、同じことができたのではないか? せっかくのビッグネームを引っ張ってきておいて、これはちょっと名前負けしているかも。

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2011年2月5日公開予定 池袋テアトルダイヤ
配給:BS-TBS 宣伝:る・ひまわり
2011年|1時間29分|日本|カラー|ビスタサイズ
関連ホームページ:http://www.bs-tbs.co.jp/zenigatamovie3/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
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