ソーシャル・ネットワーク

2010/11/25 SPE試写室
世界最大のSNSサイト「Facebook」創業の舞台裏を暴く。
IT業界には魑魅魍魎がうごめいている。by K. Hattori

Socialnetwork  名門ハーバード大学でコンピュータサイエンスを学ぶマーク・ザッカーバーグは、コンピュータ技術には天才的な知識と技能を持つが、独善的で偏屈な根性まがりのオタクだった。ガールフレンドに振られた腹いせにブログに彼女の悪口を書きまくり、そのついでに閃いて作ったのが学内の女子大生容姿ランキングサイト。ほんの短時間で立ち上げたサイトはわずか4時間で数万件のアクセスを集め、マークは一躍学校の有名人になった。彼の才能に目をつけたのが、校内の名門クラブ(学友会)に所属するウィンクルボス兄弟。彼らは「ハーバードの学生しか登録できないSNSを作るため手を貸してくれ」とマーク声をかけるのだが、マークはこのアイデアを気に入り、兄弟を無視して自分で新しいSNSサイト「ザ・フェイスブック」を立ち上げる。この新サービスはあっと言う間に大学内に広がっていくのだが、マークは「アイデア盗用」でウィンクルボス兄弟たちから訴えられ、さらに学内でのマークの唯一の友人であり「ザ・フェイスブック」への最初の出資者でもあったエドゥアルド・サベリンからも訴えられることになってしまう……。

 参加人数5億人という世界最大のSNSサイト「フェイスブック」創業の裏側を描いた、友情と裏切りのドラマ。映画に登場する人物たちはすべて「実名」なのだが、それでよくもまあこんな映画が作れたものだと感心するぐらいにえげつない。フェイスブックの創設者ザッカーバーグはIT業界において、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズに次ぐ成功者とみなされている人物。しかし映画に登場するザッカーバーグは、はっきり言って人間的にはクソ野郎である。交際していた女性を口汚くこき下ろして笑いものにし、他人のアイデアやスキルや人脈を平気で盗んで知らぬ顔を決め込み、信頼を寄せてくれた友人を使えるだけ使って冷酷に捨て去り、邪魔になった人間を巧妙な罠で失脚させる。コンピュータ技術者としての腕は超一流だとしても、この男は「人間としてそれってどうなのよ?」ということを次々にやらかすのだ。おそらくこの映画を観る人たちのほとんどが、マーク・ザッカーバーグという人間に反感を覚えるだろう。

 実名伝記映画の先進国であるアメリカでは、実名伝記映画でも内容はまるっきり嘘っぱちということが平然とまかり通っている。そんなわけでこの映画も、内容的にどこまで本当かはわからないのだが、ここに登場するマーク・ザッカーバーグという「怪物」にリアリティがあることは確かだ。彼の持つ気質が、我々の周囲にいる「誰か」を連想させるのだ。それが具体的にどんな人物なのかはわからない。ひょっとするとそれは、自分たち自身の内なる姿なのかもしれない。(監督のデヴィッド・フィンチャーはマークの姿を、音楽ビデオで脚光を浴びつつ映画界からは無視されていた若い頃の自分自身と重ね合わせたらしい。)

(原題:The Social Network)

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2011年1月15日公開予定 丸の内ピカデリー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2010年|2時間|アメリカ|カラー|スコープサイズ|SDDS、ドルビーデジタル、ドルビーSR
関連ホームページ:http://www.socialnetwork-movie.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:ソーシャル・ネットワーク
サントラCD:Social Network
原作:facebook(ベン・メズリック)
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