エクスペンダブルズ

2010/08/23 松竹試写室
命知らずの傭兵たちが南米の独裁政権を木っ端微塵にする。
豪華キャストのアクション大作映画。by K. Hattori

Expendables  自らエクスペンダブルズ(消耗品)と名乗り、危険な任務もいとわない命知らずの傭兵たち。ソマリア沖の海賊事件を片付け短い休暇を楽しむ彼らに、新しい仕事が持ち込まれる。南米のヴィレーナという国を支配する独裁者ガルザ将軍を、武力で排除してほしいとの依頼だ。リーダーのバーニー・ロスは様子を探るため仲間のクリスマスと共に現地に向かうが、この偵察はあっと言う間に見破られ、バーニーたちは命からがらヴィレーナを立ち去る。じつは独裁者ガルザ将軍を操る黒幕は、元CIA局員のジェームズ・モンロー。彼は麻薬組織を潰して自らがその後釜に座り、豊富な資金力でアメリカに牙を剥こうとしている。今回の任務は、いわばアメリカ政府の尻ぬぐいなのだ。だがバーニーは逃げずに島に残った案内人のサンドラを救うため、たったひとりで戦いの場に戻る決意を固めるのだった……。

 監督・脚本・主演を兼ねるシルベスター・スタローン以下、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ミッキー・ローク、ブルース・ウィリス、そしてアーノルド・シュワルツェネッガーまで出演しているという超豪華キャストのアクション大作。ドンパチアクション版の『オーシャンズ11』といったムードで、間違いなくこれは続編が作られそうだ。物語はハッキリ言って大味もいいところ。無法者が支配する王国に乗り込んだ命知らずの男たちが、悪党相手の大立ち回り。ピストルをバンバン、マシンガンをバリバリ、爆薬がドカンドカン、敵はバタバタと倒れていくが、我らがヒーローたちはかすり傷ひとつ負わずに無事生還。女に暴力を振るう卑劣な男は生かしちゃおけん! 正義は必ず勝つ! ……とまあ、こんな話になるわけだ。

 しかしこの映画の場合、へんに細かな芝居に走ったり、ひねった展開にしたりせず、馬鹿みたいに真っ正面から突っ込んでいくこの方法が成功している。行く手に何があろうとも、最短距離を馬力だけで突っ走ってゆく姿が痛快なのだ。主人公たちは決して死なないし、決して傷つかない。そもそも最初から「危ない!」と思わせてヒヤヒヤさせるような展開すら用意されていない。主人公たちが徹底して強く、憎むべき敵をこてんぱんにやっつけてしまうことに拍手喝采を送る。野球で言えば「15対0」のワンサイドゲームみたいなもの。幼稚と言えば幼稚だが、こういう幼稚な映画にたっぷりお金をかける贅沢さもまたいいものだ。ゲーム終盤まで互いに1点も取れない投手戦にも見応えはあるだろう。点を取っては逆転され、また再逆転して、さらにさらに再々逆転というシーソーゲームもハラハラするだろう。しかし最近の映画は、投手戦やシーソーゲームを「作劇のテクニック」として作り上げるものが多い。しかし人間には、ひいきチームが完膚無きまでに敵を叩きのめしてしまう様子を観たいという欲望もある。『エクスペンダブルズ』はそんな幼い欲望に正直だ。

(原題:The Expendables)

10月16日公開予定 丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
配給:松竹 宣伝:P2、寿
2010年|1時間44分|アメリカ|カラー|シネスコサイズ|SR、SRD
関連ホームページ:http://www.expendables.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:エクスペンダブルズ
サントラCD:The Expendables
関連DVD:シルベスター・スタローン監督
DVD:ジェイソン・ステイサム
関連DVD:ジェット・リー
DVD:ドルフ・ラングレン
関連DVD:ブルース・ウィリス
関連DVD:アーノルド・シュワルツェネッガー
ホームページ
ホームページへ