トイ・ストーリー3

日本語吹替/3D版

2010/07/15 TOHOシネマズ錦糸町(スクリーン7)
オモチャは年を取らないけれど持ち主は年月と共に成長する。
前作から11年目のシリーズ完結編。by K. Hattori

Toystory3  1995年に世界初のフルCGによる長編劇場アニメーションとして製作公開され、ピクサー社の名を一躍世界に轟かせた大ヒット作『トイ・ストーリー』。1999年には続編『トイ・ストーリー2』が公開されて、わずか4年でCGのクオリティが格段にアップしたことに驚かされたが、それからさらに10年以上たって3D版の続編が登場するとは驚きだ。もともと作品の配給を担っていたディズニーが、ピクサー社との関係を深めていく中で『トイ・ストーリー』のキャラクターを大切に育ててきたという面もあるのだろう。主人公たちがオモチャだから、マーチャンダイジングの面で商品展開がしやすいという利点もあった。2006年にディズニーがピクサー社を買収して、今やピクサーはディズニーの外部パートナーではなくディズニー・グループの一員。『トイ・ストーリー』の更なる続編が製作されるかどうかは別としても、このシリーズに登場したキャラクターたちが今後もピノキオやダンボやくまのプーさんなとと同じディズニー・キャラクターとして、末永く人々に愛されていくのは間違いなさそうだ。

 このシリーズは製作の時間経過に合わせて、映画の中でもほぼ同じように時間が経過していくのが特徴。ただしピッタリと一致しているわけではない。15年前の1作目で6歳の誕生日を迎えたオモチャたちの持ち主アンディは、今回のパート3の中では大学への進学と家からの独立を目前に控えた17歳になっている。ウッディやバズなどのオモチャたちは年を取ることはないが、アンディも今はオモチャで遊ぶ小さな子供ではない。オモチャたちは寂しいながらも、自分たちの役割がもう終わりを迎えつつあることを悟っている。このまま屋根裏部屋にでも仕舞い込まれて、少しずつ忘れ去られていくのか。だがそんなオモチャたちが、手違いから近所の保育園に「寄付」されてしまった。大量のオモチャたちが大勢の子供たちと遊ぶ保育園は、オモチャたちにとって新しい楽園のようにも思えたのだが……。

 今回の映画は『トイ・ストーリー』版の刑務所脱獄ものだ。刑務所ものの定番である血も涙もないサディストの所長、命令を忠実に実行する冷酷な看守、脱走しようとする者に対する凄惨なリンチ、脱獄計画の立案、仲間の裏切りや脱落といった定番のエピソードがしっかり盛り込まれている。オモチャたちが間違って保育園(刑務所)に寄付されてしまったという設定は、「無実の罪で刑務所に」という刑務所映画のこれまた定番の設定を連想させる。彼らは本来の自分を取り戻すため、何が何でも保育園を脱出してアンディの家に戻らなければならないのだ。でもアンディの家に戻ったところで、その先はどうなる? 屋根裏部屋の隅で、ひっそりと余生を過ごすのか?

 間もなく家を離れるアンディに、母親が「どうして大きくなっちゃうのかしら」と別れを惜しむシーンがいい。別れは寂しくても、これはハッピーエンドなのだ。

(原題:Toy Story 3)

7月10日公開 TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ
2010年|1時間43分|アメリカ|カラー|1:1.85|DTS、ドルビーデジタルEX、SDDS
関連ホームページ:http://www.disney.co.jp/toystory/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:トイ・ストーリー3
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