Girl's Life

2009/11/05 映画美学校第1試写室
「小悪魔ageha」の専属モデル、サクリナこと桜井莉菜の主演映画。
キャラクターがみんな凄く魅力的。by K. Hattori

Girl's Life [DVD]  ギャル系ファッション誌「小悪魔ageha」の専属モデルとして、カリスマ的な人気を持つ桜井莉菜の初主演映画。「小悪魔ageha」はキャバクラ嬢に人気の雑誌だそうで、映画の中の桜井莉菜も当然のようにキャバ嬢役。男にふられて大阪から東京に出てきたヒロインのハルカが、周囲の人達に助けられながら歌舞伎町のキャバクラで人気者になり、雑誌のモデルに転身し、さらにファッションデザイナーとして羽ばたいて行くというサクセスストーリーだ。水上竜士のオリジナル脚本を、大塚祐吉が映像化。水上竜二は劇中にも精神科医の役で出演している。

 宿無しのホームレス状態から、小さなキャバクラのキャバ嬢、さらに大箱のキャバ嬢を経て、ファッション誌のモデル、デザイナーへと歩んでゆく道筋が、成功への階段なのかどうかはよくわからない。しかしヒロインは最初からデザイン学校出身で、当初はファッションブランドへの就職を目指して面接を受けているのだから、この結末はヒロインなりの夢がかなったという意味で「成功」なのだろう。しかしこの話自体を、僕はあまり魅力的なものだとは思わなかった。この映画の面白さは、ヒロインも含めた登場人物たちの個性的なキャラクターにある。個性的な面々が入れ代わり立ち代わり現れて、ヒロインと様々な関わりを持っていく。そこに見られる人間の面白さや不思議さが、この映画にとって最大の魅力なのだ。

 例えばヒロインと同郷(同じ関西出身)だということで親しくなる、高倉健と名乗るホームレスのおっちゃん。ヒロインが最初に勤める、つぶれかけたキャバクラの店長と、店に寝泊まりしている同僚のキャバ嬢。彼女がふと姿を消してしまった後に、店長が「風に流れてしもうた……」とつぶやくシーンの奇妙なリアリズム。(風とは風俗のこと。)大型のキャバクラでヒロインとコンビを組む、30歳過ぎの酔いどれ子持ちキャバ嬢。ヒロインにキャバ嬢としての客あしらいを説く、ダンディな店長のプロフェッショナリズム。ヒロインをキャバクラに斡旋する怪しげな芸能プロダクションと、そこで働く事務員で、後にハルカのマネージャー兼ルームメイトになるミキ。ミキに憎まれ口をきく酔っぱらい美女。ライバルのキャバ嬢たち。キャバクラにやってくる客たち。どれもこれもみんな魅力的で、一癖二癖ありそうな連中ばかり。

 ここまで魅力的なキャラクターが揃っている映画なのに、上映時間がわずか1時間23分というのがもったいない。映画としても第三幕に入ったところで急に終わってしまったような印象だし、これはもう少し、15分でも20分でも長く観ていたかったという気持ちになる。登場人物たちが面白いので、サイドエピソードを増やしたりふくらませたりする余地がまだまだ十分にありそう。これは深夜テレビドラマあたりで、連続シリーズにしてもイケル企画かもしれない。

12月5日〜18日公開 UPLINK X(レイトショー)
配給:GPミュージアムソフト
2009年|1時間23分|日本|カラー
関連ホームページ:http://www.gp-museum.com/release/0912/01.html
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
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