ファイナル・デッドサーキット 3D

2009/09/29 イマジカ第2試写室
ホラー映画『ファイナル・デスティネーション』シリーズ第4弾。
今度は3Dで死体が眼前に飛び散ります。by K. Hattori

Final Destination [Original Motion Picture Soundtrack]  大勢の犠牲者を出した大事故。飛行機の爆発炎上、ハイウェイでの玉突き衝突、そしてジェットコースターの脱線転覆。だがこれらの事故の直前に、本来は事故に遭うはずだった人間たちの一部が間一髪でその場から逃れることができた。理由はわからないが、事故に遭うはずだったうちのひとりが、その様子を明確に予知することができたのだ。まさに九死に一生。これほどの幸運はない……はずだったのだが……。死の運命はそこから逃れた者たちを追い掛け、予定されていた死より何倍も残酷な死に被害者たちを導いていくのだった。

 2000年に登場した『ファイナル・デスティネーション』以来、3年ごとの定期便のように続編が次々公開されている人気シリーズの最新作。毎回手を変え品を変え身の毛のよだつ残酷シーンを見せてくれるお楽しみ企画だが、今回の目玉はシリーズ初の3D映画になっていること。目を覆うような凄惨な残酷場面が、リアルな3D映像になっていると思うとそれだけでワクワクドキドキしてしまうではないか。3D映画は全国公開されても一部劇場限定だったりすることがしばしばあるのだが、この映画については全劇場で3D、日本語吹替版のみでの公開になるようだ。

 というわけでとても期待していた映画だが、正直なところ期待を裏切らない程度には楽しめ、予想を上回るほどの驚きや衝撃は感じられないといったところ。一番残念だったのは、せっかく3Dになったのに死体や人体の一部が画面から客席に向かって飛び出してこないこと。そんなことを期待するのは悪趣味と言えば悪趣味なのだが、このシリーズはそもそもその悪趣味ぶりを売りにしていたものだ。3Dという新技術でパワーアップさせた、最大限のゲテモノ趣味を見せてほしかった。

 サーキットでレースカー同士のクラッシュ事故があり、満席のスタンドを車のパーツが飛び回って人間を切断し、押しつぶし、最後はスタンドの屋根が崩壊して大勢が下敷きになって死ぬという、映画序盤の「予言映像」はすごい迫力。しかしその事故から逃れた人間たちが、運命の手でひとりずつ血祭りに上げられるシーンになると、殺しのアイデアも映像も衝撃性に欠ける。アイデア賞はプールの排水ポンプを使った事例だが、それ以外は観客をヤキモキさせるサスペンスが勝っていて、殺しのアイデア自体は小粒なままで終わってしまった。クライマックスのショッピングモールでの大災害も、サスペンスに助けられてのハラハラドキドキであって、映像の迫力としてはサーキットに負けている気がしてならないのだ。というわけで映画の序盤で楽しみの大半が終わってしまうため、映画を最後まで観たあとには満腹感があまりない。最後にダメ押しで、迫力のある映像を見せてほしかった。

 要するに3Dでもっとエグイ映像が観たいという、非常に下品な要望だ。3Dで続編を作るなら、その際は画面から客席に向けて内臓や手足をばらまいてほしい。

(原題:The Final Destination)

10月17日公開予定 新宿ピカデリーほか全国ロードショー
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
2009年|1時間24分|アメリカ|カラー|シネスコ|5.1ch
関連ホームページ:http://fd-3d.gaga.ne.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:ファイナル・デッドサーキット
サントラCD:ファイナル・デッドサーキット3D
サントラCD:Final Destination
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