ピンクパンサー2

2009/02/12 SPE試写室
前作がさほど面白いとは思えないのになぜか作られた続編。
ところが今回はメチャクチャに面白いのだ! by K. Hattori

Pink Panther 2 - Movie Poster - 27 x 40  名優ピーター・セラーズの当たり役だったクルーゾー警部を、スティーヴ・マーティンが演じたリメイク・シリーズの第2弾。主演のマーティン以下、相棒ポントン役のジャン・レノ、秘書ニコール役のエミリー・モーティマーなどは前作通り。しかしクルーゾーをライバル視するドレフュス主任警部役は、前作のケヴィン・クラインからジョン・クリースに交代。監督も前作のショーン・レヴィが製作に回り、『ジュエルに気をつけろ!』や『エージェント・コーディ』のハラルド・ズワルトにバトンタッチしている。

 登場人物の紹介が不要のパート2とあって、映画は冒頭から快調なペースで進行していく。世界各地で起きた宝物の連続盗難事件にからみ、各国から選抜された凄腕刑事が一堂に集まってドリームチームを作るという設定は、『名探偵登場』(1976)みたいで楽しいことこの上なし。各国から集められた名刑事たちを、アルフレッド・モリーナ、アンディ・ガルシア、ユキ・マツザキらが演じているほか、事件捜査に協力する美人ジャーナリスト役で『ジーンズ/世界は2人のために』や『ミモラ/心のままに』のインド人女優アイシュワイリャー・ラーイ・バッチャンがゲスト出演。製作国はアメリカ、物語の主要な舞台はフランスとイタリア、監督はオランダ人、そこにアメリカ、イギリス、フランス、日本、インドなどから俳優が集まるという、映画の内容と同じぐらい国際色豊かな映画になっているのだ。

 物語は徹底したドタバタに徹していて、劇中での爆笑ポイントもほとんどがドタバタにまつわるもの。最近の映画の中で、これほどドタバタが成功しているものは他にちょっと思いつかない。ドタバタギャグなど大半のネタは使い古されているわけだが、この映画はそのギャグを何段階にもダメ押しして行くところがいい。このしつこさは、一歩間違えるとギャグが空回りしてお寒い状況を作り上げてしまうのだが、うまくツボにはまると抱腹絶倒の爆笑シーンになる。コミカルなシーンを一発勝負で笑いに結びつけるのではなく、状況のバリエーションをいくつか用意して波状攻撃のように観客の笑いのツボをくすぐりまくるあたりは舌を巻くばかり。例えばローマのレストランにまつわるエピソードは、1度でも十分面白いけどあえて2度見せる。監視カメラを使ったギャグも2度やるから面白さが倍増する。バチカンでのドタバタなども、やることが観客にはあらかじめ察知できるのだけれど、それを上回るドタバタのエスカレートには大笑いしながら大いに感心してしまうわけだ。

 パロディとはいえ物語は一応ミステリーの形式をなぞっているわけだが、ギャグの冴えほどには謎解きの面白さがないのが少し残念。しかしこのあたりはあまり深入りしても理に落ちて、スラップスティックスの感覚的な面白味に水を差しかねない。バランスの問題ではあろうが、シリーズに続編があるならそのあたりににも期待したい。

(原題:The Pink Panther 2)

4月11日公開予定 TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2009年|1時間31分|アメリカ|カラー|ビスタサイズ|SDDS、ドルビーデジタル、ドルビーSR
関連ホームページ:http://www.sonypictures.jp/movies/thepinkpanther2/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:ピンクパンサー2
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