ファイナル・デッドコースター

2006/08/18 GAGA試写室
『ファイナル・デスティネーション』シリーズ第3弾完結編(?)。
死の運命から逃れようとする若者たち。by K. Hattori

 00年の『ファイナル・デスティネーション』、03年の『デッドコースター』に続く人気ホラーシリーズの第3弾。大惨事の予感を信じて九死に一生を得た若者たちが、取り逃がした命を付け狙う「死」に次々襲われて無残な最後を遂げる物語だ。1作目の飛行機事故、2作目のハイウェイでの交通事故に続いて、今回は遊園地で起きたジェットコースターの事故がモチーフ。このシリーズは原題がすべて『Final Destination』なのだが、日本で勝手に付けた2作目の邦題が、この3作目の内容を「予知」してしまったのだ。どうやら日本の配給会社の中には、予知夢を観る能力を持つ人がいるらしい……。

 学校の卒業パーティーで遊園地を借り切った高校生たち。だがウェンディはジェットコースターが脱線転覆する夢を見てパニックを起こし、大騒ぎの末、同級生ら数人と共にコースターから追い出されてしまう。彼らの目の前で、ウェンディの予告通りコースターは転覆。彼女の恋人も含む、多くの命が奪われることになった。だが本当の恐怖はここから始まる。ウェンディと共にコースター事故を免れた者たちが、次々に不可解で謎めいた死を遂げ始めたのだ。

 このシリーズが目指しているのは、徹底した死のエンタテインメント化だ。我々の日常にある見慣れた空間の中で、人間がいかにして残酷な死を迎えるのかを、極端なクローズアップで見せつける。映画の最初にある大事故も見どころだが、それより面白いのは、からくも事故から逃れた人間たちが、ひとりまたひとりと無残な死に遭遇する場面だろう。飛行機事故も、ハイウェイでの交通事故も、ジェットコースターの脱線も、そう滅多に起こるものではないが、それでもそこで事故が起きたと聞けば人は「そうか」と納得するだけのシチュエーションだ。しかしそこで事故を免れた人たちは、まったく安全としか思えない日常空間の中で、まったく奇想天外な方法で殺されていくのだ。おそらく映画の作り手は、この部分にもっとも知恵を絞っているに違いない。

 今回の映画ではさらに、死の予告となる写真の問題がある。コースターの事故直前に遊園地で撮られた写真の中に、その後の死の理由のヒントとなる映像が写り込んでいるのだ。主人公たちはこの写真を手がかりに、迫ってくる死を回避しようと奮闘する。写真のメッセージを読み解いてうまく立ち回れば命が助かるが、それができなければ待っているのは死あるのみ。これは命を賭けた謎解きゲームだ。DEATH NOTEならぬDEATH PICTUREの裏をかき、刻々と迫ってくる死を出し抜くことで、主人公たちはその先にある生をつかもうとする。

 製作・監督・脚本は、シリーズ1作目『ファイナル・デスティネーション』と同じ、ジェームズ・ウォンとグレン・モーガンのコンビ。今回の映画を観たら、三部作をまた全部観たくなってしまった。

(原題:Final Destination 3)

9月9日公開予定 シネマGAGAほか全国順次公開
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
2006年|1時間33分|アメリカ|カラー|シネスコ|ドルビーSR、ドルビーデジタル
関連ホームページ:http://www.finaldeadcoaster.com/
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