DEATH NOTE

デスノート

2006/06/09 ワーナー試写室
人気コミックを2部構成に分けて映画化した前編。
物語の面白さにドキドキする。by K. Hattori

 週刊少年ジャンプで連載されていた人気コミック「DEATH NOTE」を、金子修介監督が藤原竜也主演で映画化したファンタジー・サスペンス。法律を学ぶ正義感の強い学生でありながら、世の中には法で裁けない犯罪があることに絶望している夜神月(やがみライト)。彼はある夜、道端で「DEATH NOTE」と題された1冊の黒いノートを拾う。持ち主が相手の名前と顔さえ知っていれば、名を書くことで相手を確実に殺せるという死神のノートだ。ライトはこのノートを使って、法が裁けない犯罪者や容疑者たちを次々に葬っていく。やがて世間はこの不思議な正義の執行者をキラと呼ぶようになった。しかし警察はキラの行為を連続殺人と断定。世界中の警察に捜査協力しているLという謎の男の協力を得て、キラ逮捕に向けて捜査の網を張りめぐらせる。

 DEATH NOTEには使用説明のような細かなルールがあって、そのルールを活用しながら犯罪者を処刑したり、身辺に忍び寄る捜査官から身を守ったりしなければならない。これがゲームのような面白さを生み出す。主人公のライトが単なる「正義」ではないところもいい。彼が「正義」を目指すなら、ターゲットは犯罪者のみに限定して、その他の名はノートに記さないだろう。しかしライトは犯罪者以外の人間を抹殺することにも躊躇しない。彼が目指しているのは犯罪者の処刑という目先のことではなく、犯罪のない理想の社会を作ることにあるのだ。彼はDEATH NOTEを使って、自分自身が神になろうとしている。神の行く手を遮ろうとする者は、誰でも構わず死の報復を受けねばならない。

 物語はネーミングも含めてかなり図式的ではある。主人公ライトのライバルがLというのも、左右を意味するR(ライト)とL(レフト)からの発想だろう。ライトにつきまとう死神の名はリュークで、Lの変名は竜崎。リュークはリンゴが大好物で、竜崎の好物は甘いお菓子。ふたりは自分の目的のためなら他人の命を犠牲にしても、何ら痛痒を覚えないという点までそっくり同じだ。ライトとLは、鏡に映したように瓜二つなのだ。ただしふたりの行動はネガとポジ。国家や法という公的秩序の外で、自分の正義と理想を貫こうとするライトに対して、あくまでも警察組織や法制度の中で自分の理念を実現しようとするのがLだ。ライトは外向的な性格で服は黒っぽく健康的なスポーツマン型、Lは内向的な引きこもりタイプで服は白っぽく肌も不健康そうに青白い。

 前後編に分けて公開される作品で、後編に向けて数多くの謎を残したまま前編は終わる。藤原竜也の上手さは相変わらずだが、Lを演じた松山ケンイチの存在感には驚かされた。余りなじみのない俳優だったのだが、彼はこれで大ブレイクしそうだ。CGのリュークは最初「デビルマンかよ!」と思ったが、観ているうちに慣れてしまった。後半は10月公開予定。今から楽しみだ。

6月17日公開予定 丸の内プラゼールほか全国松竹東急系
配給:ワーナー・ブラザース映画
2006年|2時間3分|日本|カラー|ビスタサイズ|SRD
関連ホームページ:http://www.death-note-movie.com/
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