さまざまな事情で金の必要にかられた男たちが、一攫千金を夢見て飛びついたホスト募集の求人広告。だがそれは、保証金目当ての詐欺だった。なけなしの金を搾り取られた男たちは、同じく詐欺にあった店舗のオーナーからひとつの提案を受ける。それは詐欺にあったホスト志願者たちが共同で、実際にホストクラブを開いてみるというもの。男たちはこの提案に乗って、素人ホストクラブ「DOGDAYS」をオープンする。しかし開店したばかりのクラブは人影もまばらで、参加者たちの志気も下がる一方。高慢な女性客グループにさんざんコケにされた彼らはすっかりやる気をなくし、新しい店は開店早々空中分解しそうになるのだが……。
最近人気上昇中の若手イケメン俳優7人が、ホストになって女性のお客様にご奉仕するという映画。ホスト業界を舞台にした映画には高橋玄監督の『銀の男』二部作があるが、この『ウォーターズ』はそれとはだいぶ違う趣向の映画だ。映画の本当の狙いが何なのかは、映画の最後になってようやくわかる。これは映画を観ていて、久しぶりに驚かされた。「あ、そうか、そういう映画だったのか!」と思うと、それまで映画を観ていて不満だったり物足りなく思っていたところも、また別の目で見るようになる。
ただこの映画をこのオチに引っ張っていくには、映画全体がやや力不足だったような気もする。こうした話の運びにするなら、まずは主人公たちの行動する先々で、その選択肢を巧妙に制限しなければならない。本人たちは自分の判断で行動しているつもりなのに、結果としては決められた結果に向けて動いていたに過ぎないとわかったとき、この種の映画では観客が「う〜ん、やられた!」と舌を巻くのだ。僕は今回の映画を観て「その手で来たのか!」とは思ったけれど、「やられた!」とは思わなかった。それは話の中に、まだまだご都合主義じみた部分が多く残っているからだ。
もちろんこの映画はそれだけが狙いの映画ではないから、最後のオチとは無関係な部分についてはご都合主義でも構わない。例えば主人公たちがタカビー女たちをどんなサービスで満足させるかなど、映画を観ていてあまりのクサさに笑ってしまうような場面ではあったが、これはこれで楽しいものだったと思う。しかし最後のオチに向けての筋立ては、もっと緻密なロジックが必要だったと思う。これは脚本が抱えている弱点でもあるだろうし、その弱点をカバーしきれなかった演出の問題でもあるだろう。映画を観ている限りでは、このオチにはだいぶ無理があると思う。
真中瞳演じるヒロインとその仲間たちがベンチャー企業を立ち上げて大儲けしているという設定なのだが、ホリエモン事件の直後だけに、きっとこの女たちも何か悪いことをしているに違いない……と思ってしまった。金遣い荒すぎ。主人公たちがマンガなのだから、脇のエピソードにはリアリティが欲しかった。
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