2番目の彼女

2004/11/04 シネカノン試写室
恋人がいるのに出会ったばかりの女の子と浮気した男の話。
映画のポイントがどこだかわかりにくい。by K. Hattori

 28歳の自称小説家・草野崇文は、脱サラして作家を目指したもののなかなか芽が出ない。学生時代から付き合っている美人でしっかり者の恋人を安心させるためにも、仕事が軌道に乗らないとなぁとあせる毎日。そんな彼が、知り合ったばかりの女の子と行きずりのセックスをした。恋人との関係を最優先にしたい草野はこの関係にすぐ終止符を打とうとするのだが、相手の女の子から「わたしは2番目の彼女でいいんです。お互い本気にならず、会いたい時に会って楽しみましょう」と言われてついズルズルと関係を長引かせてしまうのだが……。

 監督・脚本はドラマの脚本や演出で活躍中の大森美香。主人公の草野を北村由起哉が演じ、彼の生活を翻弄する2番目の彼女志願の少女・雪乃を前田綾花、本命の恋人・有希子を岡元夕紀子が演じている。インディーズの低予算映画にもかかわらず、脇役はかなり豪華。映画の冒頭でいきなり柏原収史が登場してビックリさせられるほか、随所に映画やテレビで見覚えのある顔が登場する。

 1時間強の中編と呼ぶべき映画だが、内容的には30分か40分のネタを水増ししたような印象が残る。劇中劇や劇中のテレビ番組、幻想シーンなどが、必要以上に長いような気がするのだ。これをもっと整理すれば、時間は容易に1時間を切って全体にコンパクトに、シンプルになったのではないだろうか。無理矢理水増しした結果、この映画は一体何を言いたいのか、何をやりたいのかが不明瞭になっているように思えてならない。物事を複雑に考えすぎて生活が破綻していく主人公の混乱ぶりは、逆にスッキリとシンプルに描かないと観ている方まで混乱してしまうのだ。あるいはひょっとしてそれが狙いだったのかもしれないけれど、だったらもっとハチャメチャにするべきだろうし……。

 僕などは「2番目の彼女だ? 結構じゃないの。2番目だろうと3番目だろうと、エッチで可愛い女の子は大歓迎だぜ!」と思っているので、この主人公の混乱ぶりがどうもよくわからない。劇中の人物たちならずとも、「もっとシンプルに考えて楽しめよ」と思ってしまう。だいたい行きずりの女の子を、恋人もやってくる自分お部屋に何度も引っ張り込むなよ。ホテルを使いたまえ、ホテルを!! この主人公の危なっかしい行動を観ていると、要するにこの男は安定した恋人との関係の方を終わらせて、自分ひとりで裸一貫再スタートするきっかけがほしかったのではないかと思えてくる。ひょっとして、そういう話なんでしょうかね。

 監督が脚本家出身ということもあり、会議室に集められてのアイデア会議など、売れない脚本家の生活描写はかなりリアル。しかしそうした生々しさと、シュールなすっ飛び方をするシーンのちぐはぐさは最後まで気になる。恋人の実家で出会った家族たちは、本当に実在するのか? ラストシーンは現実か、それとも幻想か? どうも締まりのない映画だ。

11月27日公開予定 渋谷シネ・ラ・セット
配給:内外出版社 宣伝:バイオタイド
2004年|1時間5分|日本|カラー|スタンダード|ステレオ
関連ホームページ:http://www.cmd-g.co.jp/kanojo/
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