ワイルド・フラワーズ

2004/02/05 映画美学校第2試写室
弱小女子プロレス団体の新社長になった青年が見たものは……。
JDスターとアストレスが製作した女子プロレス映画。by K. Hattori


 小さな女子プロレス団体・ガリンペイロの社長、アイアン飯島が死んだ。ガリンペイロの行く末を託されたのは、「母は幼い頃に死んだ」と言われ育った細谷伸一という青年。将来を嘱望されていた伸一は、突然つぶれかけた女子プロ団体を押しつけられて面食らうが、所属レスラーやスタッフたちのすがるような視線に負けてつい新社長になることを承知してしまう。同じ頃ガリンペイロに入ってきたのが、セクハラで会社勤めを辞めさせられた元OLの桐島みどりと、バイト先の喫茶店で乱闘騒ぎを起こした空手の達人・中島涼子だった。ふたりはめきめきと頭角を現して人気レスラーに成長。沈みかけたガリンペイロは復活すると思われたのだが……。

 監督は『ご存知! ふんどし頭巾』や『JOKER 厄病神』『仮面学園』の小松隆志。主人公の伸一を『ROCKERS』や『木更津キャツアイ 日本シリーズ』の岡田義徳が演じ、新人レスラーの涼子役には極真空手やキックボクシングの経験があるという石川美津穂、努力家でおとなしいが酒が入ると人が変わるみどり役には新人の鈴木美紀。映画製作には吉本興業系の女子プロレス団体JDスターが関わっており、同系列の芸能事務所アストレス所属のタレントとあわせて、大迫力の試合シーンを生み出している。

 映画の上映時間が2時間7分というのがちょっと長い。大病院の研修医がどうしてプロレス団体の社長になったかという説明が長々と続くのだが、こんな設定はどうせ絵空事なのだから、何か印象的なエピソードを工夫して、一気にドラマの核心に観客を引っ張り込んでほしい。逆にガリンペイロの窮状を物語るエピソードが少し欲しいし、所属しているレスラーたちが先代社長の死をどう受け止め、未来に対してどんな思いを抱いているのかという気持ちも知りたかった。彼らはやる気のない素人新社長をどう思っているのだろうか。こうした序盤の段取りがもう少しがっちり固まっていると、新人ふたりが団体に加わって以降の勢いも増しただろう。

 序盤が少しもたつくものの、新人ふたりがリングデビューして以降はいい感じでドラマが積み上げられていく。ライバル団体Jリングの豊島社長を麿赤児が演じているのだが、これが悪役にも変人にもなっていないのがいい。豊島はオトナなのだ。競技スポーツとしてのプロレスと、エンターテインメントとしてのプロレスの、酸いも甘いも噛み分けた男。彼が「あんたらの言うガチンコの真剣勝負と、世間で言うところのプロレスとの間にある、もうひとつのプロレスを見せてやる」と言うときの迫力!

 主演の岡田義徳も悪くないが、この映画で断然いいのは石川奈津穂と鈴木美紀だろう。特に鈴木は強くなるにしたがって色が黒くなり、面構えがたくましくなってくる。試合シーンも飛んだりはねたり本物の迫力。最後の「もう一度!」には感激。これは続編が観たいくらいだ。

4月17日公開予定 テアトル池袋
配給:東京テアトル、ザナドゥー
2004年|2時間7分|日本|カラー|ヴィスタ
関連ホームページ:
http://wildflowers-movie.jp/

DVD:ワイルド・フラワーズ
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