スパイキッズ3-D
ゲームオーバー

2003/10/12 109シネマズ木場シアター1
過去2作の出演者たちが総出演する同窓会映画の決定版。
立体映像は子供に大受けだが、大人は頭痛が……。by K. Hattori


 人気の『スパイキッズ』シリーズ第3弾は、一般劇場映画としては久しぶりの3D立体映画。アイマックスのような偏光メガネを使う立体映像ではなく、昔懐からある赤青フィルターを使った立体映画だ。僕は日本語吹替え版を近くのシネコンで観たのだが、公開2日目ということもあってか、場内は親子連れの観客でぎっしり埋まっていた。ただしこの映画、物語は過去2作に比べてもっとも薄く、ひねりも何もない単純なもの。とにかく徹底して「立体映画」としての面白さだけを前面に出した作品で、1,2作を踏まえた番外編かオマケと考えた方がいいと思う。

 秘密諜報員組織OSSを飛び出し私立探偵として働くジュニのもとに、OSSからの緊急呼び出しがかかった。最新ゲーム機に見せかけた洗脳マシンで、世界中の子供をゲームの世界に取り込もうとしているトイメーカーという男。その野望を阻止すべく、たったひとりでゲームの世界に入っていった姉カルメンが、ゲームの世界から出られなくなってしまったというのだ。ジュニに与えられた役目は、姉カルメンを救い出してゲームをシャットダウンすること。ジュニは苦労しながら各ステージをクリアして、無事カルメンを救出したのだが……。

 この映画ではゲームの世界が立体映像で表現されており、1時間24分のうち1時間程度が立体映像になっているのだと思う。『スパイキッズ』シリーズは次々登場する奇想天外なスパイグッズが楽しみのひとつなのだが、ゲームの世界ではこうしたグッズも登場の機会がまったくない。そのため映画の売りである立体映像の場面になると、映画がとたんに『スパイキッズ』らしからぬ世界になってしまう不満がある。ジュニとカルメンがゲームから脱出したときは、正直言ってがっかりしてしまった。「な〜んだ、これだけかよ」という感じなのだ。

 しかしそこから、映画の本当のクライマックスが始まる。話はくだらないのだが、映画の1,2作に登場したキャラクターが総出演するのは、シリーズが好きなファンにはたまらないサービス。今回は話の弱さを立体映像とキャスティングでカバーして、作品としてのボリューム感を出している。楽しくてうれしい映画だけど、こうした映画の作り方をすると、これはもうシリーズもここでおしまいということでしょう。これはシリーズ過去2作の同窓会みたいなもの。シリーズ映画としては、もう終わっているのです。

 僕はメガネをかけているせいか、肝心の立体映像がちらついてあまり楽しめなかった。メガネレンズのコーティング処理と3Dメガネの相性が悪いのかもしれない。もっともこれはメガネだけのせいではなく、左右の目から入った情報を脳内で立体像として造形処理する能力が衰えてきているのかもしれないけどね……。子供は順応性が高いので、こうした装置でもリアルな3D映像が体感できるのかもしれないなぁ。

(原題:SPY KIDS 3-D: GAME OVER)

10月11日公開 渋谷ジョイシネマ他・全国洋画系
配給:アスミック・エース
(2003年|1時間24分|アメリカ)
ホームページ:
http://sk3d.jp/

DVD:スパイキッズ3-D/ゲームオーバー
サントラCD:スパイキッズ3-D/ゲームオーバー
サントラCD:SPY KIDS 3-D: GAME OVER
関連DVD:スパイキッズ・シリーズ
関連洋書:SPY KIDS 3-D関連
関連DVD:ロバート・ロドリゲス監督
関連DVD:ダリル・サバラ
関連DVD:アレクサ・ヴェガ
関連DVD:シルベスター・スタローン

ホームページ

ホームページへ