パイレーツ・オブ・カリビアン
呪われた海賊たち
2003/08/28 丸の内ピカデリー1
ディズニーランドのアトラクションから生まれたニュータイプの海賊映画。
ジョニー・デップはミスキャスト。最後まで違和感がある。by K. Hattori
ディズニーランドの人気アトラクション「カリブの海賊」をモチーフにした、スリル満点のファンタジック・アクション巨編。不吉な宝の呪いで死ぬことも朽ちることもできなくなった海賊たちが、呪いを解くために捜し求める1枚のメダル。そのメダルを偶然手に入れたことから海賊にさらわれる令嬢エリザベスと、メダルの本来の持ち主であり彼女をひそかに愛していた青年ウィル・ターナーの冒険。彼らを助けるのは呪われた海賊たちに船を奪われ殺されかけた、一匹狼の海賊ジャック・スパロウだ。メダルやエリザベスの身柄をめぐって、ウィルやジャックが大海原を駆け巡っての大活劇が繰り広げられる。
「海賊映画はヒットしない」というハリウッドのジンクスを破って、アメリカでも日本でも大ヒットしている映画。製作はジェリー・ブラッカイマー。監督は『ザ・リング』のゴア・ヴァービンスキー。ジャック・スパロウを演じるのはジョニー・デップ。ウィル役には『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのオーランド・ブルーム。ヒロインのエリザベスを演じるのはキーラ・ナイトレイ。呪われた海賊団の首領バルボッサを、ジェフリー・ラッシュが憎々しげに演じている。
剣戟、海賊に襲撃される町、帆船同士の砲戦、ロープをかけて船から船に飛び移る男たち、どくろ軍団が操る幽霊船、船の墓場、海賊たちが隠す宝の山、沈没しそうな船からの脱出などは、どれもこれも映画のクライマックスになり得る大掛かりなスペクタクル。それが次から次に出てくる様子は最初のうちこそ面白いのだが、正直言って途中からうんざりしてくる。派手な活劇を見せられるより、話を先に進めてほしいと思うようになるのだ。多分これは各シーンのテンションがやたらと高いことに原因があるのではないだろうか。「見せ場」が続くのは構わないのだが、「山場」がずっと続くと観ていても疲れてしまう。2時間23分の上映時間は、この内容だとちょっと長いのではなかろうか。
主演のジョニー・デップは評判がいいようだが、僕はミスキャストだと思う。これはジェフリー・ラッシュと役を入れ替えたほうがよかった。ジョニー・デップがバルボッサを演じれば、野心たっぷりのギラギラした悪党ぶりを発揮できただろう。ジェフリー・ラッシュがジャック・スパロウを演じれば、部下に裏切られて落ちぶれ果てた三流海賊の悲哀がユーモアたっぷりに描けただろう。無人島でのヒロインを前にしてグデングデンに酔っ払うシーンなども、ジェフリー・ラッシュの方が何倍も面白くなるはずだ。何よりもこの映画では、ジョニー・デップがわざわざ身支度を汚らしくしているのが気になる。こんなことせずに、デップは最初から伊達男をキザに演じればいいのです。
エンドロールの最後にオマケがあるのだが、これは蛇足もいいところ。全体にもっとコンパクトに作れば、もっといい映画になったのになぁ……。
(原題:Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Pearl)
8月2日公開 丸の内ピカデリー1他・全国松竹東急系
配給:ブエナビスタ
(2003年|2時間23分|アメリカ)
ホームページ:http://www.disney.co.jp/movies/pirates/