メラニーは行く!

2003/06/18 渋東シネタワー3
リース・ウィザースプーンが別居中の夫と新恋人の間で揺れ動く。
結論は最初からわかっているのに結構ハラハラする。by K. Hattori

 ニューヨークの新進ファッションデザイナーとして人気急上昇のメラニー・カーマイケルは、リッチでハンサムな市長の息子アンドリューとの交際も順調。初めてのファッションショーが成功した夜、彼から結婚を申し込まれて「YES!」と答えたメラニーだったが、なぜか彼女はこの婚約を秘密にしたがり、彼女の実家を訪問したいという彼の申し出も断るのだ。メラニーがニューヨークに出てきて8年。じつは彼女は郷里に置き去りにしてきた夫ジェイクがおり、正式にはまだ離婚が成立していなかったのだ。故郷アラバマに戻ったメラニーは、ジェイクに離婚届を突きつけて離婚を迫る。だが彼はのらりくらりとこの要求をつっぱね、なかなか離婚に応じてくれそうもないのだ……。

 リース・ウィザースプーン主演のラブコメディ。南部の田舎町から大都会ニューヨークに出て成功したヒロインは、自分の過去を徹底的に封印しようとする。世界一の大都市で都会流の洗練された日々を送っている彼女にとって、自分が田舎の貧しい町出身だということは「忌まわしい過去」なのだ。しかも今はその過去が、自分の新しい幸福の足を引っ張っている。過去何年も「無視していればいい」存在だった故郷だが、今はいよいよその関係をきちんと精算しなければならない存在になっている。

 原題は『Sweet Home Alabama』だから、ヒロインが「呪わしい故郷」との関係に折り合いをつけて、「やっぱり故郷が一番!」という気持ちに立ち返るであろうことはあらかじめ織り込み済みだ。彼女は過去を捨てて作り上げた大都会での生活より、故郷で培った生活に戻ってくるだろう。金持ちでハンサムな若手政治家との関係より、幼馴染の夫とよりを戻すことを選ぶだろう。映画が始まって早々、誰だってそう考える。ところがところが、この映画はその「わかりきった結論」に一直線には進んでいかない。映画を観ているうちに、ヒロインのメラニーがいったいどちらの生活を選ぶのか、まったくわからなくなってくる。

 メラニーの婚約者になったアンドリューが、とにかくいい奴なのだ! 自分の地位や立場をひけらかさないし、メラニーの過去を知った後も、過去をすべてひっくるめて彼女を受け入れようとする。でも夫のジェイクにも捨てがたい魅力がある。単なる田舎のイモ兄ちゃんではない、洗練されたたたずまいがある。そして何よりも、彼もまたメラニーのことを心から愛している。メラニーがどちらの男性を選ぶことが本当の幸せになるのか、映画を観ている観客も迷いに迷うことだろう。

 リース・ウィザースプーンの魅力が存分に発揮された作品。この映画はウィザースプーン主演だから成り立つもので、他の女優がメラニーを演じたのでは面白さ半減だったと思う。庶民性と生活感をたっぷり感じさせつつ、洗練された振る舞いもできるのが彼女。『キューティ・ブロンド』の続編も今から楽しみ!

(原題:Sweet Home Alabama)

6月14日公開 日劇3他・全国東宝洋画系
配給:ブエナ・ビスタ
(2002年|1時間49分|アメリカ)
ホームページ:
http://www.movies.co.jp/melanie/

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