アニマトリックス

2003/04/18 ワーナー映画試写室
ウォシャウスキー兄弟が製作した『マトリックス』のアナザーワールド。
日本のアニメとハリウッド映画が融合したらこうなる。by K. Hattori

 6月3日にDVD発売される『アニマトリックス』は、5月24日からヴァージンシネマズ六本木ヒルズで1週間限定の劇場公開が行われる。今回はたまたま試写を観る機会に恵まれたので、以下に各エピソードの簡単な内容と感想。なお1〜4話までがウォシャウスキー兄弟の脚本作だ。

 第1話の「ファイナル・フライト・オブ・オシリス」は、全9話中でも唯一の3DCGアニメ。ザイオンに向けて巨大な掘削機が穴を掘り出したことを知らせるため、マトリックスに入ったヒロイン。はたしてメッセージを投函するまで、ホバークラフトはセンティネルの攻撃から持ちこたえられるのか? 見所は後半のアクションより、前半のチャンバラ・ストリップだ。目隠しなしでもこれが実現できたら、一流のナイトクラブでスターになれる。

 第2話と第3話は、マトリックス誕生までの歴史をザイオンのコンピュータ・アーカイブが解説してくれる「セカンド・ルネッサンス パート1&2」。ロボットたちが自分たちの独立国として作った国が、現在のイラクだというのが……。対イラク戦争を踏まえてこの映画を観ると、なんだかひどく複雑な気分になってくる。

 第4話「キッズ・ストーリー」は、絵の具をぶちまけた様な独特の絵柄が特徴的。劇中に『マトリックス』の主人公ネオが登場する。マトリックスの幻影から抜け出し、自分の力で目覚めた少年の物語だ。

 第5話「プログラム」は『マトリックス』晩のチャンバラ映画。アイデアとしては単純で、ほとんど一発芸の世界。しかしアクションはなかなか面白かった。

 第6話「ワールド・レコード」も自分の力でマトリックスから抜け出そうとする男の物語だが、世界記録保持者の短距離走者の世界を、時間を極端に引き延ばして見せてくれるシーンは面白かった。

 第7話「ビヨンド」は、現代の日本が舞台。街中の廃墟に迷い込んだ猫を探そうとした少女が、そこで不思議な空間のゆがみを発見する。それはマトリックスのプログラムのバグだったのだが……という話。これを観ていると「いま自分が暮らしている世界もマトリックスなのでは?」と思ってしまう。今回観たのは英語版だったが、DVDで日本語吹き替え版を観ればそうした不思議な気分はもっと大きくなるだろう。日常世界に似た別世界という設定は、押井守の『うる星やつら2/ビューティフル・ドリーマー』を連想させる。

 第8話「ディテクティブ・ストーリー」は、謎のクライアントから大物ハッカーのトリニティを探すよう命じられた探偵の話。ハードボイルドタッチだけれど、メカデザインは『未来世紀ブラジル』のようなスチームパンク風。

 第9話「マトリキュレーテッド」は、人間を捕えるためのロボットを逆に人間たちが捕獲して再プログラミングし、人間の味方にしてしまおうという話。この絵柄には賛否両論がありそうだなぁ……。

(原題:ANIMATRIX)

2003年5月24日公開予定 ヴァージンシネマズ六本木ヒルズ
配給:ワーナー・ホームビデオ 宣伝:ドラゴンキッカー
(2003年|1時間30分|アメリカ)
ホームページ:
http://www.intothematrix.com/

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