マイ・ビッグ・ファット・ウェディング

2003/04/01 ワーナー試写室
ギリシャ系のヒロインが結婚に向かうバタバタを描いたコメディ。
次々登場する個性的なキャラクターに大笑い。by K. Hattori

 ギリシャ系の舞台女優ニア・ヴァルダロスが、自分自身や友人・親戚などから聞いたギリシャ系アメリカ人の結婚に関するエピソードをもとに作った同名の一人芝居をもとに、ヴァルダロス自身の脚本・主演で映画化されたコメディ映画。製作にはトム・ハンクスと妻で女優のリタ・ウィルソンの名前がクレジットされているが、じつはウィルソンもギリシャ系。ギリシャ系の女性と非ギリシャ系の男性の結婚というこの映画のモチーフは、そのままトム・ハンクス夫妻の家庭にも当てはまるものだったのだ。出来上がった映画は大ヒットし、現在はこの映画とほぼ同じキャストで「My Big Fat Greek Life」というドラマがCBSテレビで放送されているようだ。

 主人公は恋人もいなければ結婚の見込みもないまま、30歳になってしまったギリシャ系の女性トゥーラ・ポルトカロス。今は両親の経営するギリシャ料理店を手伝っている。何とか父親を説得して近くのカレッジに入学した彼女は、叔母の経営する旅行代理店を手伝うようになり、そこで高校教師のイアンと知り合う。深く愛し合うようになり、結婚を決めたふたり。だが「ギリシャ人はギリシャ人と結婚するのだ!」という父親は、この結婚に大反対。それでも何とかふたりは結婚にこぎつけるのだが……。

 結婚をめぐる物語では、カップルの昔の恋人が現れるとか、どちらかの隠し事がばれるとか、何らかの大事件が起きて結婚が破談寸前になるのがひとつのが常だが、この映画ではほとんどそうした危機が訪れない。確かにヒロインの父は結婚に反対し、相手の両親も息子の婚約者の両親がギリシャ系と知って目を白黒させたりするのだが、だからといって「やめましょう」という話にはならないのだ。考えてみれば、たいていの結婚はこんなものだろう。大きな事件や事故が起きなくても、結婚という大イベントにはいろいろな出来事が山盛りだ。生活環境の違う男と女が出会って、互いに家族ぐるみで交流が始まる。次々に現れる親戚たち。まったく馴染みのない習慣。目新しい食べ物や酒。この映画を観ていると、まるで自分までギリシャ系家族の食卓に招かれたような気分が味わえる。

 邦題からはオミットされてしまったが、原題にあった「Greek」という部分がこの映画の最重要テーマだ。(その証拠にヒロインの恋人の家庭が何系なのかはほとんど問題視されていない。)アメリカのマイノリティ文化を描く映画はたくさんあるが、ギリシャ系がここまで大きく取り上げるのは珍しいように思う。しかしこの映画は「ギリシャ系アメリカ人のための映画」ではない。マイノリティの家庭というものを通して、それぞれの家族が抱える固有の文化や生き方の問題を象徴的に描き出しているからこそ、この映画が広く世界中で受け入れられたのではないだろうか。もちろんこの映画は、日本人が観ても十分に面白いはずだ。

(原題:My Big Fat Greek Wedding)

2003年7月公開予定 丸の内プラゼール他・全国松竹東急系
配給:ワーナー・ブラザース映画
(2002年|1時間36分|アメリカ)
ホームページ:
http://www.mybigfatwedding.jp/

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DVD:マイ・ビッグ・ファット・ウェディング
サントラCD:マイ・ビッグ・ファット・ウェディング
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ノベライズ:マイ・ビッグ・ファット・ウェディング

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