モンク
Vol.1 狙われた市長候補

2003/02/19 ムービーテレビジョン試写室
トニー・シャローブ主演の人気テレビシリーズ、第1話となるパイロット版。
主人公モンクのキャラクター設定が面白さの9割だ。by K. Hattori

 『ギャラクシー★クエスト』や『スパイ・キッズ』シリーズでお馴染みのトニー・シャローブが、サンフランシスコ市警の元刑事エイドリアン・モンクを演じる人気テレビシリーズの第1話。レギュラー枠は1話45分のシリーズだが、この第1話はパイロット版で1時間20分になっている。今回は夏に発売されるビデオのプロモーションとして、試写室でのビデオ上映が行なわれた。

 刑事ドラマはこれまでに数え切れないほど作られてきたが、「モンク」の主人公はその中でも相当にユニークなタイプだと思う。頭脳明晰で記憶力と推理能力はピカイチ。犯罪の現場に一歩足を踏み入れてぐるりと周囲を見渡せば、頭の中でキラリと何かがひらめいて、あっという間に犯人像をプロファイリングしてみせる。まさに現代のシャーロック・ホームズだ。ところがこのモンク氏、現在は警察を休職中の身分。数年前にある事件をきっかけに神経症にかかってしまい、現在は看護婦の付き添いなしに外出もできないありさまなのだ。

 その症状は、不安神経症、不潔恐怖症、強迫神経症、高所恐怖症など数知れず。毎週火曜日はチキンパイを食べないとパニックを起こし、犯人追跡中でも恐怖発作に襲われれば体が硬直して動かなくなり、卓上ランプや駐車メーターを見ると触らずにいられない。何かが不安になりはじめるとそわそわ落ち着かなく体が動き始め、不安が高じると辺り構わず奇声を上げる。捜査官として類い希な才能を持ちながら、まともに社会生活が営めない変人だ。

 映画でも登場人物に魅力がなければ観客はすぐ飽きてしまうが、テレビシリーズの場合は特にキャラクター重視が徹底している。1シリーズ20数話を成立させるには、通り一遍のありふれたキャラクターでは話が先に進まなくなってしまうのだ。主要登場人物のキャラクター設定と人物の相関関係をガッチリと固め、物語のバックボーンとなる世界観を確立しておけば、あとはストーリーが少々弱くてもシリーズを続けていくことができる。それはこの「モンク」も同じだ。特に第1話は視聴者に番組を強く印象づけるため、キャラクター紹介と世界観の提示が主な役割になってくる。

 この第1話はモンクの優秀な頭脳と奇人変人ぶりをたっぷりと視聴者に印象づけ、彼を支える看護婦シャローナとの名コンビぶり、かつての上司リーランド警部との関係など、これからのシリーズに必要な人物関係がすべて情報提供されている。モンクの神経症を生む原因になった事件の真相が謎になっているのは、今後のシリーズでその謎の解明が大きなテーマになってくるということだろう。トニー・シャローブは個性的な脇役として数々の映画に出演していた俳優だが、この作品でゴールデン・グローブ賞のテレビ部門で主演男優賞を受賞。すでに第2シーズンの制作も決定したというから、先が楽しみだ。

(原題:MONK)

2003年夏ビデオ発売予定
ビデオ発売:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
宣伝:ムービーテレビジョン
(2002年|1時間20分|アメリカ)
ホームページ:
http://www.usanetwork.com/series/monk/

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DVD:MONK
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