逢いたくて

2003/01/14 メディアボックス試写室
カトリーヌ・ドヌーヴとウィリアム・ハートが演じる大人の恋の物語。
僕にはまったく理解できない。説明不足じゃない? by K. Hattori

 カトリーヌ・ドヌーヴ演ずる美術書の編集者が、何十年も前に別れたきり未だ忘れられない恋人と再会するため、ニューヨークに行って出会った人は……。ケイリー・グラントとデボラ・カーが主演した57年の傑作メロドラマ『めぐり逢い』をモチーフに、熟年男女の恋の行方を描いたラブストーリー。監督は『エステサロン/ビーナス・ビューティ』のトニー・マーシャル。ヒロインがニューヨークで出会うカメラマン役で、ウィリアム・ハートが出演している。この映画のニューヨークロケは一昨年の9月。撮影隊がニューヨークに到着した直後に貿易センタービルへの自爆テロが起きて、一時は撮影を続行することが危ぶまれたという。撮影環境以前に、スタッフやキャストがショックを受けてしまったのだという。まぁ、それはそうでしょうとも。

 話としてはちょっとわかりにくいところが多い。ヒロインのファネットは何十年も前に別れたフィリップという恋人のことが忘れられないという設定なのだが、その相手の姿はとうとう画面に現れないし、ふたりがどんな交際をしていて、どんないきさつから別れてしまったのかという理由もわからない。ヒロインに想いを寄せるベルナールという男が登場するのだが、彼も共通の友人であるファネットとフィリップが付き合っていたことを知らないようなので、どうやら交際はごく短期間、しかも周囲に知られることのない秘密の交際だったようだ。ファネットはずっと独身だが、それはフィリップへの想いと関係があるのだろうか? ファネットの娘リュシーの父親は、いったい誰なのか? ベルナールがファネットの前に現れるのは単なる偶然? それともストーカーなのか? ファネットが見るフィリップの姿は本当に彼本人なの?

 次々に生じる疑問に、この映画はまったく答えようとしないのだ。なんとも不親切。もちろん映画がすべての観客にとってわかりやすい必要はないし、説明が省略されている部分を観客が想像力で補うことが、映画の印象を膨らませることもある。でも説明を省略することと、説明不足は違うと思うけどな。

 還暦近いドヌーヴは未だに女性の色香をかすかに漂わせているものの、さすがに背中や脇腹のあたりにまでびっしりとお肉が付いて、かなり貫禄のある体型になってきた。その彼女がヒステリックに怒鳴っている時、いきなり股ぐらに手を突っ込むウィリアム・ハートはなんて勇気があるのだろうか! このシーンはエロチックとか何とか言う以前に、ワニ園で調教師がワニを素手でつかむのを見るようなスリルがあった。これは恋愛映画としてはいかがなものか。これは男女のラブシーンと言うより、調教師が猛獣を手なずけているのに近い。

 この映画の魅力は、僕がもっと年をとればわかるようになるのだろうか? 例えば50歳を過ぎたら、この映画のドヌーヴやハートの気分がわかるようになる? う〜む。それは疑問だ。

(原題:AU PLUS PRES DU PARADIS)

2003年春公開予定 銀座シネ・ラ・セット
配給:ギャガ・コミュニケーションズ、メディアボックス
配給協力:アニープラネット 協力:ハピネット・ピクチャーズ
(2002年|1時間40分|フランス)
ホームページ:
http://www.gaga.ne.jp/

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