ジェイソンX

2002/07/24 アミューズピクチャーズ試写室
恐くて笑える人気ホラーシリーズの最新版は『エイリアン』流ジェイソン。
新しく生まれ変わったジェイソンXはすごくパワフル。by K. Hattori

 クリスタルレイク湖畔にやってくる若いキャンパーたちを殺戮し、逮捕されても殺されてもその都度復活を遂げた不死身のシリアルキラー、ジェイソン・ボーヒーズ。クリスタルレイク研究所の役割は、ジェイソンの不死身の生命力を研究すると共に、新たな犠牲者を出すことを防ぐため彼を厳重に隔離しておくことだった。だが主任研究員ローワンの意向を無視して、軍はジェイソンの能力を軍事利用しようとする。だが近づいた兵士を皆殺しにしたジェイソンを、ローワンは何とか超低温冷凍することに成功。だがローワンもジェイソンに刺されて重傷を負い、一緒に冷凍保存されてしまった。それから数百年後の未来。今は廃墟になった地球から、冷凍状態のジェイソンとローワンが掘り起こされる。宇宙船内の最新医療設備で冷凍から目覚めたローワン。だが同じ宇宙船の名かで、あのジェイソンも命を吹き返していた……。

 '80年に第1作目が製作されるや、一躍ブームを引き起こした人気ホラーシリーズの第10作目。タイトルの「X」はローマ数字の「10」だ。だが映画を終盤まで観ると、この「X」に別の意味が重ね合わされていることに気づく。今回のジェイソンは、その凶暴さと不死身さに磨きを掛けた、新しいジェイソンに生まれ変わる。それはもはや今までの「ジェイソン」ではない。まったく新しいクリーチャーへと進化した「ジェイソンX」なのだ。

 物語の骨子は『エイリアン』シリーズ1,2作目からの無断借用と言ってもいいだろう。未来の宇宙船が古代の遺跡から持ち出したモンスター、冷凍睡眠、アンドロイド、モンスターと強力な火器を持つ兵士たちの戦闘、脱出までのタイムリミット……。しかしこうしたアイデアの拝借をしても、この映画がまったく『エイリアン』に似ていないのは明らかだろう。ジェイソンというキャラクターが登場することで、『エイリアン』はものの見事に『13日の金曜日』に乗っ取られてしまっている。こうした映画を観ると、『エイリアンVSプレデダー』より、『エイリアンVSジェイソン』が観たくなる。

 ジェイソンがジェイソンであるためのアイデンティティはどこにあるのか。それはあのホッケーマスクだ。ジェイソンはあのマスクの裏側にいるジェイソン・ボーヒーズという“人間”ではない。あのホッケーマスクそのものがジェイソンなのだ。このシリーズを観ていた人なら誰でも薄々は感じていたこの真実を、今回の映画は決定的に暴露する。ジェイソンの遺伝子情報から、ホッケーマスクまで再生されてしまうんだからすごい!

 今回の映画は最新のVFX満載。ノースターのローテク低予算映画としてスタートしたこの映画が、まさかこうなるなんて……。でも今回も出演者にスターはいないから、低予算は低予算なのだろう。だがこの配役陣のショボさが、ジェイソンの強烈な個性をより引き立てるのも確かだけどね。

(原題:Jason X)

2002年8月24日公開予定 銀座シネパトス
配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給
(2002年|1時間31分|アメリカ)

ホームページ:http://www.gaga.ne.jp/

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