ドッジGO!GO!

2002/07/04 アミューズピクチャーズ試写室
小学生ドッジボールの熱い戦いをユーモアたっぷりに描いた作品。
これは三原光尋監督の代表作になるだろう。by K. Hattori

 『ヒロイン!なにわボンバーズ』の三原光尋監督が、今回取り上げたのは小学生のドッジボールだった。誰でも小学校時代にやったことのある国民的なボール遊び。平成3年には日本ドッジボール協会(J.D.B.A.)が設立されて統一ルールも定められ、熱く燃えるような戦いが、全国の小学校の体育館やグラウンドで繰り広げられているらしい。

 主人公・入江ゆきこは小学6年生の女の子。地元のドッジボールチーム「みなとドッジキッズ」のキャプテンをしているが、同じ地区の強敵「山手ドッジファイターズ」になかなか勝つことができない。しかも大会直前になって、チームからは脱落者が続出して大会に出場するための規定人数を大きく割り込み、練習場の倉庫は近く取り壊されることが決まったという。ゆきこは町会長に頼み込み、次の大会でドッジファイターズに勝つことができれば練習場の取り壊しを取りやめるという約束を取り付ける。だがそのためには、まずメンバーを補充しなければならない。ところがメンバーは増えるどころかさらに半減。ゆきこ自身も、父親の仕事の都合で韓国に引っ越すことになってしまう……。

 地域のおんぼろチームが、ひとりの女の子の大活躍でライバルチームに勝利する、ドッジボール版『がんばれベアーズ』みたいな映画。物語のあちこちに話の合理性より面白さや願望を優先した「お子様映画」ならではの展開があるが、それがこの映画の中では大きな欠点にはなっていないと思う。ダメになったチームを立て直すため主人公ゆきこが韓国人小学生たちをスカウトしてくる場面などは『七人の侍』みたいだし、ライバルチームとの試合シーンは映画『ロッキー』のように熱く盛り上がる。最後に勝つであろうとわかっていても、最後までハラハラドキドキさせてくれるのは上手い!

 この映画の何よりの魅力は、主役である小学生たちの表情の明るさと豊かさにある。特にゆきこを演じた田島有魅香は最高。韓国から参加した子供たちも、じつにいい顔をしている。この映画は演技経験の少ない子供たちを前面に押し出しながら、その周囲をベテランの俳優たちでがっちりサポートしているのもいい。筧利夫、小倉久寛、温水洋一、板谷由夏がドラマを脇から支え、モロ師岡や田中要次、徳井優といったバイプレイヤーたちがワンポイントで画面を引き締める。ライバルチームの監督が益子直美という配役も面白い。

 子供たちの友情や絆というテーマに焦点をあて、それ以外の部分にあまり深入りしないのも好感が持てる。例えばゆきこの父親の離婚や再婚問題、ゆきことライバルチーム主将の関係などをもっと掘り下げることもできるはずなのだが、あえてそれには触れずにクライマックスの試合まで持っていく。上映時間1時間23分がとても愛おしく思える、子供版スポーツ映画の快作。夏休みに子供と一緒に観るなら、こんな映画もいいかもしれない。

2002年7月27日公開予定 渋谷シネ・アミューズ
配給:アミューズピクチャーズ
(2002年|1時間23分|日本)

ホームページ:http://www.amuse-pictures.com/dojji/

Amazon.co.jp アソシエイトDVD:ドッジGO!GO!
主題歌CD:DRIFTER (LOVE&PEACE)
関連DVD:三原光尋
関連書籍:ドッジボール

Click here to visit our sponsor

ホームページ

ホームページへ