SPY_N

2002/05/24 メディアボックス試写室
藤原紀香がアーロン・クォックと共演したポリス・アクション映画。
ガラスの上のアクションだけでも一見の価値あり。by K. Hattori

 『風雲ストームライダーズ』のアーロン・クォックと藤原紀香が主演した、香港・アメリカ合作のポリス・アクション映画。監督は『ポリス・ストーリー3』や『レッド・ブロンクス』などのジャッキー・チェン映画で知られ、ハリウッドでも『Mr.マグー』を撮っているスタンリー・トン。本作は最初から海外市場を視野に入れて製作しているため台詞のほとんどが英語なのだが、撮影時には中国語で台詞をしゃべる中国語版も作られたらしい。藤原紀香以外にも、『ジェヴォーダンの獣』のマーク・ダカスコ、台湾の人気スターで最近では『拳神』にも主演しているワン・リーホン、台湾のアイドル歌手ルビー・リン、アメリカの人気ラップ歌手クーリオなどが出演する国際的なキャスティングになっている。香港ではずいぶん前に公開されている映画で、日本でも既にリージョンフリーのDVDが手に入る作品。じつは僕も既にDVDで一度観ていたりする。邦題の『SPY_N』とは「スパイ紀香」という意味だと思うけれど、なんとこの映画の中では藤原紀香が「ノリカ」という役名で出演しているのだった。ちなみにクーリオもルビーも、役名はそのまんまクーリオとルビー。じつにじつに、観客にとってわかりやすい映画なのだ。

 クーリオに同僚の刑事を殺された日本の女性刑事ノリカが、潜入捜査官として上海までやってくる。証拠品の顧客リストを手に入れるため、敵陣深く潜入するノリカ。やがて上海マフィアの大物が殺され、現場にいたノリカが容疑者として逮捕されてしまう。だが本当の犯人は別にいた。米国との麻薬取引のため、ボスが邪魔になった部下の犯行だったのだ。上海の若手刑事ふたりとノリカは、犯人逮捕のため協力するのだが……。

 話はそれほど面白くないのだが、冒頭から切れ目なく続くアクションの連続はそれなりに見応えがある。オープニングにある人質救出シーンの壮絶なバトル。ファッションショー会場から始まるカーチェイス。宮殿での激しい銃撃戦と、サーカスのような体技の数々。そしてクライマックスの宙吊りアクション。藤原紀香は多くの場面でスタントマンなしのアクションに挑戦しており、見せ場も多い。ホテルの部屋から逃亡する際の、ネクタイを使った階下へのジャンプも、DVDを見る限りでは藤原紀香本人だったような気が……。そして何と言ってもすごいのは、空中に宙吊りにされた巨大ガラスの上でのアクションシーン。これは映画の中でも最大の見どころで、高所恐怖症気味の僕はDVDで一度見ているにもかかわらずやっぱり手に汗握る場面だった。クレーンで大きな荷物をつり下げ、その上で組んずほぐれつの格闘が演じられるというシーンは過去にもいろいろな映画に登場している。でも本作のガラス板は、それらとは比較にならないほどスリルがあって面白いのだ。こんなアクションシーンは、ハリウッドではまず撮影不可能だろう。(あえて作るとしたらデジタル合成ということになる。)香港映画の醍醐味が味わえる名場面でした。

(原題:CHINA STRIKE FORCE)

2002年夏公開予定 渋谷東急3他・全国松竹東急系
配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給

(上映時間:1時間31分)

ホームページ:http://www.spy-n.jp/

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